News 2001年11月14日 11:55 PM 更新

対話エージェントやインターネット“視聴”システムも――「ITX 2001」

情報処理振興事業協会が開催した「ITX 2001 第1回 IPA Technology Expo」では,e-Japan構想を支える最新技術・研究の展示が行われた。

 情報処理振興事業協会(IPA)は11月14日,e-Japan実現に向けた研究開発の成果を集めた展示会「ITX 2001 第1回 IPA Technology Expo」を開催した。会場は基盤技術,ビジネス,教育,医療・介護など8つのゾーンに分けられ,それぞれの分野からe-Japan構想を支える最新技術・研究の展示が行われた。


e-Japan研究成果を集めた「ITX 2001」

 中でも注目を集めていたのが「e-クリエーター」のゾーン。IPAは天才クリエーターを発掘・育成する「未踏ソフトウェア創造事業」を進めているが,ここではその支援のもと,新市場を開拓するような独創的なソフトウェアの開発を行っている研究者が,最新の研究成果を披露した。

 「いつでも,どこでも,人に話しかけるような感覚で家電やコンピュータを操作できるようにする」ことを研究目標にした「対話エージェント」を紹介していたのは,産業技術総合研究所の長谷川修氏だ。

 家電製品や情報機器の進歩は目覚ましいが,一方で,これら先端技術を享受するためには個々の操作を覚えなければいけない。「だが,それぞれインタフェースが違い,それらを覚えるのがユーザーの負担になっているのも事実。対話エージェントは,機械と人間との通訳的役割を担ってくれる」(長谷川氏)。


機械と人間の通訳的役割を担う対話エージェント

 小型ステレオカメラの“目”で画像認識を行ってユーザーを特定。個々に合った音声認識システムや情報データベースを選択する。ポイントは,レンズを2個持ったステレオカメラ。特許も申請しているこのシステムによって,人物と背景が奥行きの違いで区別できるようになり,人物判定の精度が高まった。


ステレオカメラで人物と背景が区別できるようになった

 「今からドラマを見たい」とエージェントに向かって話すと,ユーザーの好みも踏まえた上でネットワーク上からいくつかのドラマが選択され,音声合成によってユーザーに知らせてくれる。「○○が見たい」と答えると,USB接続の汎用赤外線リモコンからAV機器に信号が送られるというわけだ。

 デモはノートPCを使っていたが,処理が重い画像認識を専用チップ化すれば小型化も可能だという。「携帯電話やロボットへの応用も難しくはない」(長谷川氏)。

 インターネットをまるでTVのように視聴できるシステムを紹介していたのは,神戸大学大学院生の灘本明代氏。「クリック」「スクロール」「読む」といった能動的な操作となるWeb閲覧を,「見る」「聞く」といった受動的な“視聴”に変えるシステムだ。具体的には,HTML情報からテキストと画像を抽出し,それをアニメーションで動きを加えながらCGキャラクタが音声合成で読み上げ,画像も同時に紹介するというもの。


TV番組を見るようにインターネットを“試聴”することができる

 リンクや不要なタグがいくつもあるようなホームページは変換できなかったり,フレームを多用しているページは苦手など課題は多いが,「PC操作が苦手なユーザーも,TV感覚でインターネット情報を知ることができる」(瀧本氏)。

 一般企業の出展にも,興味深いものがあった。東芝ITコントロールシステムでは,各種センサーで作り出された“知的な空間”を動くロボットが紹介されていた。

 従来のロボットは,本体側の高機能化を図っていたが,同社のシステムでは,ロボットが動く空間をセンサーで囲むことで人間や障害物を認識し,姿勢制御を行う。「ロボットが動く環境側を知能化していく」(同社)という逆転の発想だ。各種センサーや制御システムなどロボットの頭脳を小さなボディに詰め込む必要がないため,小型で低コストなロボットを作ることができる。

 デモで使われていたロボットは,制作費5000円ながら,布が置かれた部分を避けるために橋を模した黒い部分を選ぶなど高度な動きを見せていた。


“知的な空間”を動くロボット

 松下電器のブースでは,電灯線を利用した設備系有線ネットワーク「エコーネット」とAV系のネットワーク「IEEE1394」という規格の異なるネットワーク同士を結ぶホームゲートウェイの試作機が展示されていた。


エコーネットとIEEE1394を結ぶホームゲートウェイ

 AV機器の制御は,高速データ伝送ができるIEEE1394など既存のネットワーク規格がすでにある。一方,家庭内のあらゆる所にあるコンセントをインフラとしたエコーネットは,エアコン/照明/冷蔵庫など設備系家電機器の制御に有利だ。

 それぞれ一長一短なので,家庭内には複数のネットワークが混在することになる。「普通ならプロトコル変換をしなければいけないが,試作したホームゲートウェイではデータをオブジェクトとして扱うため面倒なプロトコル変換を行わずに制御できる」(同社)。

関連リンク
▼ 情報処理振興事業協会
▼ ITX2001公式サイト

[西坂真人, ITmedia]

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