News | 2001年11月27日 11:27 PM 更新 |
ANALOG DEVICESは11月27日,デジタルオーディオプロセッサ「SigmaDSP AD1954」を発表した。高性能なD/Aコンバータと専用DSPを1チップに統合,1チップ化によって音源からシステム出力まで,完全にデジタル信号のままで処理できる。
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ANALOG DEVICESのデジタルオーディオプロセッサ「SigmaDSP AD1954」 |
CDという革命的なメディアが約20年前に誕生して以来,MD,DAT,DVDオーディオ,SACD,MP3などオーディオソースのデジタル化は着実に進んでいるが,一方でオーディオ処理を行うハードの大部分は,まだまだアナログに頼っているのが現状だ。
確かに,ドルビーデジタルの普及によってデジタルAVアンプがホームシアターシステムで一般的になり,ハイスペックなステレオシステムにフルデジタル処理を売りにした商品も出始めてはいるが,いずれも高価なシステムが中心で,オーディオ分野全体では少数派だ。
ミニコンポやカーオーディオ,PC用オーディオシステムなど,一般ユーザーが利用する普及タイプオーディオは,ほとんどがアナログ信号処理を行っている。
これだけ,デジタルメディアが溢れている世の中で,ハード面でオーディオ処理のデジタル化が進まないのは,なぜだろうか。
最大の理由は,コスト的に採算がとれなかったためだ。オーディオ設計者がデジタル処理の製品を作ろうとするとき,これまでは汎用DSPに外部コンバータという組み合わせぐらいしか選択肢がなかった。
これではハードも高くなるし,プログラミングの負荷も大きくなってしまう。特に,DSPのプログラミングは,オーディオ分野でアナログを手掛けてきたシステム設計者にとって,馴染みの薄い専門領域。このような“デジタル初心者”に使いやすいツールも少なかったのだ。
「デジタルメディアのクオリティを手頃な価格帯で,というユーザーニーズは高まっているが,従来のアナログ技術者に使いやすいオーディオシステムのデジタルソリューションが無かった」(同社)。
SigmaDSP AD1954では,GUIによる簡単操作の専用ツールが用意されている。これによって,DSPプログラミングの専門知識を持たないアナログ系の設計者でも,高品質のデジタルオーディオ信号処理エンジンを作ることができる。
「分かりやすいGUIによって簡単に信号フロー制御が行えるため,デジタル技術に弱いアナログ設計者でも,プロ級のダイナミック処理ができるようになる」(同社)。
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分かりやすいGUIで初心者にも簡単に操作できる専用ツール |
そのほか,SigmaDSP AD1954では3個のD/Aコンバータを内蔵し,48KHzで112デシベルの高S/N比を実現した。また,低域信号を強調するバス・ブーストや大音量時の歪みを除去するアルゴリズム,大音量シーンで自動的に音量を下げるミッドナイト・モードといったダイナミック処理を行えるのも特徴だ。
さて,この新しいデジタルオーディオプロセッサによって,我々エンドユーザーはどんな恩恵を被ることができるのだろうか。
まず,音源の入力から出力までフルデジタル処理をうたったミニコンポやカーオーディオが,普及価格帯で登場してくるだろう。また,PCにこのチップを採用することで,貧弱だったマルチメディア機能が低コストでパワーアップする。もともとPCは,MP3などデジタルの音楽ソースを扱うのは得意だ。同プロセッサによって,PCのオーディオシステムはデジタル処理が当たり前になるかもしれない。
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SigmaDSP AD1954のターゲット |
SigmaDSP AD1954の評価用ボードは,すでに一部メーカーなどに出荷されているが,プロセッサの量産時期は来年の2月以降になる予定。同プロセッサが組み込まれた最終製品が市場に出てくるのは,来年の後半ぐらいになるという。
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SigmaDSP AD1954の評価用ボード |
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