News 2001年12月5日 08:16 PM 更新

過熱するブレードサーバ市場参入合戦。HPは「Powerbar」の受注開始(1)

熱やスペースの問題に対処するブレードサーバの開発は,技術上の挑戦でもあるが,大手のサーバメーカー各社にとってこうした挑戦は,「ホワイトボックス」メーカーとの差別化の一手段でもある。

 日増しに競争が激化している超薄型ブレードサーバの市場で,Hewlett-Packard(HP)が通信業界の標準技術を採用した自社製品の売り込みをかけている。

 同社は,超薄型ブレードサーバ「Powerbar」(コードネーム)の受注を開始した。来年1月初旬までに本格出荷を開始する。Powerbarには,狭いスペースに可能な限り多数のサーバを収容するために,通信業界で広く使われている標準技術の「CompactPCI」が採用されている。

 ブレードサーバは,複数の独立したローエンドサーバを1つのキャビネットに積み重ねる形のもの。横から見れば本棚に並んだ本のように,前から見れば食器棚に並んだ皿のように見える。これに対して,既存のローエンドサーバはほとんどが,1つのきょう体に1つのコンピュータしか備えていない。現在の一般的な設計で最も小さなものは,ビザボックスくらいの大きさで,高さが1.75インチ,幅が19インチだが,これらを数十台ラックに積み重ねると,システムの裏から無数のケーブルがあふれ出して悪夢のような状態になる。

 HPのブレード型システムでは,プロセッシング用,ストレージ用,ネットワーク用などいくつかのブレードサーバが単一のキャビネット内に収容されている。HPのIntelサーバシリーズマーケティング担当マネジャー,Brian Cox氏と,チーフテクロノジストのLin Nease氏によると,プロセッサブレードと,ストレージおよびI/O用ブレードを,それぞれ16台ずつ備えたシステム構成の場合で,価格はおよそ4万5000ドルだという。

 HPによると,このシステムは当初,Red Hat,SuSE,Debianの各Linuxに対応する。また2002年上半期中にWindowsに対応,2002年下半期には他のLinuxディストリビューションもサポートする予定だ。

 Powerbarは12月6日に正式発表される予定。だが当初のモデルは最新の技術を駆使したものではなく,比較的古い技術を採用している。CPUはCoppermineベースのPentium IIIで,440GXチップセットでメモリやその他のサブシステムをつないでいる。

 来年半ばには,もっと新しいIntelのTualatinチップや,HPのPA-RISCを搭載したデュアルプロセッサのモデルが登場する見通し。

 Nease氏によると,2003年には,2台のサーバをシングルボードに合体した製品も登場する見込みだという。さらにCox氏によれば,Intelチップとしてはハイエンドの(だがその分,電力消費量も大きい)Itaniumチップを搭載した初のブレードサーバも,2003年中に登場するという。

 同社の主要な競合相手も,この市場への参入を狙っている。Dellは,薄型のブレード設計と(10月2日の記事参照),これよりは厚みのある「ブリック」型の両システムの開発にあたっている。Compaqも,年内に「QuickBlade」システムをリリースと言われている(3月16日の記事参照)。

 IBMも,コードネームで「Excalibur」と呼ばれるブレードサーバ設計により,この市場でいち早く名乗りを上げた会社の1つ。またIntelは,超低電圧型のCPUにより,このトレンドを加速しようとしている(11月14日の記事参照)。

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