News | 2001年12月27日 11:59 PM 更新 |
2001年は,実にさまざまなウイルスが発生して多くの被害をもたらした。セキュリティホールを悪用した不正プログラムの出現や,受動的攻撃といった新たな攻撃手法も発見されている。ブロードバンド元年といわれ,常時接続のネットワーク環境が一般ユーザーに広がったことが,ウイルス拡大に拍車をかけたともいわれている。
情報処理振興事業協会(IPA)によると,IPAに報告のあった2001年ウイルス届出件数は,11月末で2万361件と2万件の大台を突破。さらに12月は過去最悪のペースで推移しており,14日の時点で2155件と半月で2000件を超えた。
今日(12月27日)現在では「正確な集計は年明けに発表するが,現時点で3000件を超えているのは間違いない」(IPA)という深刻な状況だ。これまで過去最悪だったのは,今年8月に記録した2809件。残念ながら,この悪しき記録の更新は,ほぼ間違いない。
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ウイルス届出件数の月別推移 |
2000年からのウイルス届出件数を見てみると,昨年10月までは月1000件以下で推移していたのが,11月に一気に倍以上に増加。以後,1000件を下回ることはなくなってしまった。昨年同様11,12月に大きく増加している今年の状況を見ていると,2002年は月2000件ペースどころか月3000〜4000件も十分ありえる。
2001年はウイルス被害が飛躍的に増加したが,この年末の状況を見ると来年は今年以上に深刻な状況になりそうだ。
2001年は,さまざまな新種・亜種のウイルスが登場した。2002年は,一体どのようなウイルスの出現が予想されるのだろうか。アンチウイルスソフトベンダーに聞いてみた。
シマンテックの星澤裕二氏は,2002年のウイルスについて「今年発生したCodeRedやNimdaは,従来のカテゴリーでは分類できない複合型ウイルスだった。このような“複合型の脅威”が,2002年のメインストリームとなる」と警鐘を鳴らす。
他のコンピュータを攻撃する,あるいは感染させるために複合的な方法を用いる「複合型の脅威」について星澤氏は,
と,その特徴を指摘する。
「ウイルスの作成がグループで行われているケースが増えてきている。このためさらに高度に,悪質に,複雑に,進化したウイルスの発生が予想される」(星澤氏)。
また,これまでのウイルスはインターネット網を媒介に急激に拡大したが,Network AssociatesのVincent Gullotto氏は「今後は無線LANや携帯情報機器がウイルスに狙われる」と警告する。
無線LAN経由でネットワークにウイルスを侵入させることは,すでに技術的には実現可能となっている。無線LANの電波が届く場所にノートPCを持ち込むだけで,ハッキングされてしまう恐れがあるというわけだ。さらに,携帯情報機器がネットワークにつながるようになってきたことによって,PDAや携帯電話を介してウイルスが広がっていく可能性もある。
また2002年は,今年11月に発売されたWindows XPが広くユーザーに普及する年でもある。日本ネットワークアソシエイツの石黒昭二氏は「来年は今年同様,脆弱性を狙ったウイルスが増える。特にクライアント側の脆弱がターゲットとなり,Windows XPのような新OSを利用したウイルスが発生するだろう」と語っている。
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