News 2002年1月8日 11:59 PM 更新

“手のひら映画館”を実現──SDマルチカメラ「D-Snap」

松下電器産業が昨年12月に発表したSDマルチカメラ「D-snap SV-AV10」。動画/静止画撮影・携帯オーディオプレーヤー・ボイスレコーダといった機能を携帯電話サイズで実現した注目の新製品を,発売前にレビューしてみた。

 松下電器産業が昨年12月に発表したSDマルチカメラ「D-snap SV-AV10」。切手サイズのSDメモリーカードをメディアに採用し,非常にコンパクトになったこの注目の新製品を,今月20日の発売前に触ることができたので,そのファーストインプレッションをお届けしよう。


SDマルチカメラ「D-snap SV-AV10」

 D-Snapは,サイズが28(幅)×50(高さ)×87(奥行き)ミリ,重さは約98グラム(本体のみ)と,折り畳み式携帯電話とほぼ同じ大きさというコンパクトさが特徴だ。ほぼ同サイズのiモード端末(N503iS)と比べてみると,その大きさがよく分かるだろう。


N503iSとの比較。並べてみると,ほぼ同サイズなのが分かる

 そのコンパクトなボディは,BOXサイズのタバコの空き箱にスッポリ入ってしまう。こうなってくると,ジェームズボンドの世界だ。


タバコの空き箱にスッポリ入ってしまう

 このサイズに1/4型CMOSセンサー(有効33万画素)と2インチの液晶ディスプレイを装備。MPEG-4形式で最大320×240ピクセルの動画が撮影できるのに加えて,デジカメとしてJPEG形式の静止画(640×480ピクセル)が撮影できる。フラッシュも装備しているので,暗所の撮影も可能だ。


1/4型CMOSセンサーと2インチの液晶ディスプレイを装備

 SDメモリーカード内には“DCIM”というフォルダに記録されるので,SDスロットを搭載したPHS(KX-HS100)を使って画像をメールに添付してすぐに送信することができた。VGAサイズの画像は,数メガピクセルが主流の昨今のデジカメから比べるとやや見劣りするが,100Kバイト前後の画像ファイルサイズは携帯メールの添付用としてはちょうどいい大きさだ。


D-Snapで撮影した画像(VGAをQVGAにリサイズ)

 また,D-Snapはシリコンオーディオプレーヤーにも変身する。SDカードに記録したAAC形式の音楽ファイル再生機能を搭載し,付属のインナーイヤー型ヘッドホンを使って音楽を楽しめるのだ。さらにSDメモリーカードに音声だけを録音できるボイス機能あるので,ICレコーダーがわりにもなる。


AAC形式の音楽ファイル再生機能を搭載している

 D-Snapの最大の魅力は,やはりMPEG-4形式での動画撮影機能だろう。ただし,CMOSセンサーで撮影し,SDメモリーカードにMPEG-4形式で記録する映像に,DVカメラのような画質を期待してはいけない。

 一番長く記録できる「エコノミー2」モードでは,1Mバイト当たり約1分間の動画撮影ができる。しかし,このモード時のビットレートは約64Kbpsで画面の大きさは176×144ピクセルとなり,映像のクオリティは低い。D-Snap本体で映像を見ると,デコーダ性能の限界からか圧縮映像特有のブロックパターンが目立つ。

 ただ,録画したデータをWindows Media Playerなどを使ってデコード処理能力が高いPC本体で再生すると,D-Snap本体で見るよりもずっとキレイに見ることができる。つまり,D-Snapのエンコーディング性能自体は高いのだ。

手のひらに映画館!?

 D-SnapはNTSCでのビデオ入力もサポートしているので,ポータブルなMPEG-4エンコーダとしても活用できる。TVやビデオの映像を録画して楽しむことができるのだ。カメラとしての本来の趣旨からは外れるが,このモバイルビデオシステム的な使い方が,意外とD-Snapの応用範囲を広げそうだ。

 同社のSDマルチカメラは,もともと映像ビューワ/レコーダとしてのコンセプトがある。昨年10月にCEATECで参考出展されていた際にも,D-Snapタイプからカメラ機能を廃したSDビューワ/レコーダが同時に発表されていた(詳細は別記事を参照)。

 この機能を使って字幕入りの映画を録画してみた。

 結果は,エコノミー2モードではなんとか字幕が読めるものの,動きの速いシーンではブロックノイズが目立ってしまい,映画を鑑賞するレベルではなかった。エコノミー1やノーマルといったモードでも,大きな変化は見られなかった。


エコノミー2モードではなんとか字幕が読める程度

 一方,ファインモードでは字幕もはっきり読み取れ,映像も2インチの液晶で見るうえには問題ないレベルとなっていた。動きの速い映像で若干ブロックノイズが見られるが,映画鑑賞には十分堪えうるレベルだ。


ファインモードは映画鑑賞に十分堪えうる映像。字幕もはっきり読み取れる

 ノーマル以下のモードは画面サイズが176×144ピクセルだが,ファインだけは320×240ピクセルとなっている。字幕まで読もうとするとQVGA以上の解像度が必要なのだろう。

 ファインモードでは,1Mバイトに録画できる時間は約15秒。512MバイトのSDメモリーカードを使ってやっと映画1本分の録画時間を確保できる計算だ。

 SDメモリーカードも大容量化が進んでいる。同社から256Mバイトが昨年12月21日に発売し,512Mバイトが今月21日に発売される予定だ。D-Snapの動画を思う存分楽しむためには,ぜひ大容量のSDメモリーカードが欲しいところだ。

 主な仕様は,以下の通り。

製品名 D-snap SV-AV10
撮像素子 1/4型35万画素CMOSセンサー(有効約33万画素)
記録画素数 静止画:640×480ピクセル,動画:320×240/176×144ピクセル
記録方式 静止画:JPEG,動画:MPEG-4
レンズ 4.16ミリ,F3.6,最短撮影距離:50センチ
電子ズーム なし
その他機能 音声録音,AACファイル再生
液晶ディスプレイ 2インチ(480×234ピクセル)
記録メディア SDメモリーカード,マルチメディアカード
電源 付属充電池
サイズ 28(幅)×50(高さ)×87(奥行き)ミリ
重さ 98グラム(電池別,使用時約125グラム)
価格 オープン(実売4万5000円前後)

関連記事
▼ 松下,携帯電話サイズのSDデジカメ発表,MPEG-4撮影に対応
▼ 松下,SDカード超小型モバイルビデオシステムを参考出展

関連リンク
▼ 松下電器産業

[西坂真人, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.