News | 2002年1月21日 09:16 PM 更新 |
セイコーエプソンは1月21日,ホームシアター用液晶プロジェクタの新製品としてHDTV対応のハイエンドモデル「ELP-TW100」とエントリーモデル「ELP-TS10」の2機種を発表。コンシューマ向けプロジェクタ市場に本格参入した。エプソン販売を通じて,全国の家電量販店や専門店などで2月中旬より販売される。価格は2機種ともにオープンだが,実売価格はELP-TW100が50万円弱,ELP-TS10が30万円弱となる見込みだ。
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HDTV対応のハイエンドモデル「ELP-TW100」 |
ELP-TW100は,新開発の高解像度ハイコントラスト16対9ワイド液晶パネルを搭載した。解像度は1280×720ピクセルで,HDTV信号フォーマットの750pにも対応。BSデジタルのハイビジョン放送をはじめとした,多彩な映像入力信号フォーマットを再生することができる。
600対1という高いコントラストを可能にしたのが,ドリームプロセスという新技術。液晶基板層に0.7マイクロメートルの溝を作り,そこにデータ線を埋め込むことで,平坦な液晶面を形成するというもの。これによって横電界がなくなり,画面の光漏れが防げる。「光漏れがなくなることで黒レベルの輝度をしっかりと落とすことができ,それが高コントラストにつながる」(同社)。
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平坦な液晶面を作ることで光漏れを防ぎ,コントラストを高める新技術「ドリームプロセス」 |
そのほか,ファンノイズを30デシベルに抑えた静音設計や短焦点レンズ採用で投影距離2.5メートルで80インチを可能にするなど,ホームユースを考慮した設計となっている。
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実売30万円弱のエントリーモデル「ELP-TS10」 |
ELP-TS10は上位機種にも採用されている自社開発0.9型ハイコントラストTFT液晶パネル(800×600ピクセル)を使いながら,実売30万円以下の価格を実現した。エントリーモデルながら,ELP-TW100と同等の映像入力信号に対応し,700ANSIルーメンの高輝度仕様となっている。
両機種ともに,サイズは348(幅)×274(奥行き)×104(高さ)ミリで,重さは約4.2キロと同スペックの競合機種に比べて軽量コンパクト設計となっている。
主な仕様は以下の通り。
型番 | ELP-TW100 | ELP-TS10 |
液晶パネル | 0.87型ポリシリコンTFTワイド液晶 | 0.9型ポリシリコンTFT液晶 |
画素数(横×縦×枚数) | 1280×720×3 | 800×600×3 |
輝度 | 700ANSIルーメン | ← |
コントラスト比 | 600対1 | 500対1 |
対応ビデオ信号 | 525i/525p/625i/625p/1125i/750p,DVDコンポーネント,コンポジット/S | ← |
対応PC信号 | VGA/SVGA/XGA/SXGA(アナログ/デジタル共に) | ← |
サイズ | 348(幅)×274(奥行き)×104(高さ)ミリ | ← |
重さ | 約4.2キロ | ← |
投影サイズ | 30〜300インチ | ← |
騒音レベル | 30デシベル | 31デシベル |
実売価格 | 50万円弱 | 30万円弱 |
発売時期 | 2月中旬 | 2月下旬 |
新製品発表会で挨拶に立ったエプソン販売・降旗國臣社長は「ホームシアター向けプロジェクタ新製品は,販売側としては待ちに待った商品」という言葉で切り出した。
その背景には,好調なプロジェクタ市場への期待感と,競合他社がを昨年次々と市場に投入してきたコンシューマ向けプロジェクタ製品での出遅れを挽回したいという思いが込められている。
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「ホームシアター向けプロジェクタは,待ちに待った商品」と語る降旗社長 |
情報関連機器が軒並み低迷する中,プロジェクタ分野は不況知らずで急速に市場を拡大している。同社によると,2000年には年間11万2000台だったその市場規模は,2001年には15万6000台(対前年比139%)と4割近い伸びだったという。同社では2002年も22万2000台とやはり4割増になると予測,2005年には45万9000台に達すると試算している。
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不況知らずで急速に拡大するプロジェクタ市場 |
この急成長市場で,同社は,ビジネス向けが中心となるデータプロジェクタ分野において6年連続国内販売トップをキープしている。シェアは28.5%(2001年上半期)と4分の一以上を取り,2位以下のNEC,プラスビジョン,ソニーを大きく引き離している。ただ,セイコーエプソンを除く残り7割強のシェアを,15社以上ものメーカーが食い合っているという非常に競争の激しい市場である。
さらに,近年注目されているホームユースの市場では,昨年,プラスビジョンやソニーなどが小型・軽量で低価格な製品を投入して成功。これまでコンシューマ向け製品を持たなかった同社は,同分野でやや水をあけられた感があった。
ホームユース向けは,プロジェクタ市場全体でみるとまだ1割強の比率だが,同社の市場予測でも「2005年にはホームユースの比率が全体の3割弱にまで拡大する」とみている。今後大きな市場が見込めるだけに,家庭用プロジェクタへの取り組みは急務となっていた。
2製品の投入で,出遅れたホームユース向けでの巻き返しを図る同社。「2製品で年間1万台を販売し,今年度のプロジェクタシェアを30%にまで拡大したい」(降旗社長)と目論んでいる。
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