News 2002年2月5日 09:10 PM 更新

「男性の期待にも応えます!」──アマゾン「愛と官能」担当者に聞く

「愛と官能」──。この淫靡な響きの言葉に惑わされてはいけない。女性ユーザーをターゲットに据え,「格調高くアーティスティックに」をコンセプトに愛と官能を追求しているのだ。

 1月29日,オンライン書店「Amazon.co.jp」運営のアマゾンジャパンが,「Love&Erotique(愛と官能)ブティックをオープンした。「愛と官能」と聞いただけで,妄想がふくらんでしまう人もいるかもしれないが,このブディックは決して18禁のアダルトコーナーではない。「拡張高く,アーティスティックに」をコンセプトに,愛と官能を追求したものである。

 アマゾン ジャパンでエンターテイメントシニアエディターを務める松本肇子氏は,愛と官能ブティックでは,「バレンタインが近いこともあって,女性やカップルで楽しめる幅広いセレクションを用意した」と話す。愛と官能をテーマにしたカテゴリーを設けているのは,世界中のAmazonでも日本だけだ。「各国のチームが新しいことにチャレンジすることに,本社は非常に寛容。ただ,アダルトはさすがにできない(笑)」(同氏)。

 ブティックの品揃えを見てみると,和書では,花村萬月や団鬼六といったこの筋では著名な作家の文芸作品から,愛染恭子の「イヴの快感―手取り足取り粘膜講座 見てわかる原色性感写真259」といったハウツー本まで,幅広く取りそろえている。

 松本氏は,「需要がありそうなのに,誰もこうした取り組みをしてこなかった。サービス開始から間もないが,実際,かなりの反響がある」と話す。中でも,洋画DVDに人気が集まっているという(2月20日に発売になるベネロペ・クルス主演の「ハモンハモン」はお奨めだそうだ)。

 ちなみに,コミックのコーナーを覗いてみると,「お天気お姉さん」がカテゴライズされてしまっている程度のもの。ましてや,遊人の作品など──言わずもがなである。

もっとハードに!?

 アダルトを一切排除し,「愛と官能」ブティックのブランド作りにかなりの気を使っているアマゾンだが,実際にこうした形になるまでに,いろいろと苦労もあったようだ。

 愛と官能ブティックのコンセプトについて,女性が入りやすいように格調高いデザインを採用し,ウインドウショッピングを楽しむような感覚のサイトにしようという話になったとき,ある担当者は「そんなレベルじゃ,男性ユーザーは満足しない!」と主張。もっとハードな内容にすべきだと提案したという。

 さらに,この論争はアマゾン全社に波及。「マーケティングなど,編集以外の部門からも,進捗状況を質問されるようになった。ここまで社内の関心が高いコンテンツも珍しい(笑)」というから,皆,胸の奥に“熱いモノ”を抱えていたのだろうか。

 ただ,松本氏の話では,愛と官能ブディックはこれで完成というわけではないようだ。「第1段階として,今の愛と官能ブティックがある。今後は,男性ユーザーのニーズ(?)にも応えるようなサイト作りを目指したい。ただ,その際には,あまり“ウェット”にならないように,アマゾンらしい見せ方をしていく」(同氏)。

 実際,Amazon.co.jpでは,これまたその筋では多くのファンを抱えるフランス書院の文庫本も取り扱っている。にもかかわらず,フランス書院の作品が愛と官能ブティックにラインアップされないのは,不思議なものである。「顧客第一主義」によって成長を支えられているアマゾンだけに,きっと世の中の男性の期待に応えてくれるに違いない……だろう。

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[中村琢磨, ITmedia]

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