News | 2002年2月6日 09:44 PM 更新 |
AMDは米国時間の2月5日,MIPSベースのマイクロプロセッサを手がけるAlchemy Semiconductorを買収すると発表。同社はこの買収によって,PDAやウェブタブレット,無線/有線のIAデバイスなど「ノンPC」分野向けの事業を強化していく。
同社は今回の買収にあたり,ノンPC分野のコネクティビティ機器向け製品を手がけるセクションとして「パーソナル・コネクティビティ・ソリューション事業ユニット」を設立した。
この発表をうけて2月6日,日本AMDがAlchemy Semiconductor買収の経緯をマスコミ向けに説明した。
堺和夫社長は冒頭の挨拶として「以前から,AMDはノンPC分野をやらないのかという声があったが,本日その話ができるようになった。PDAなどノンPCの分野では,日本がユーザー的にも技術的にも進んでおり,マーケットも大きい。この買収によって,インターネットアクセスを目的としたPC以外のソリューションを,PCのソリューションに加えることができる。つまり,PCとPC以外の双方で完全なコネクティビティソリューションを提供できるようになった」と語った。
Alchemy Semiconductorは昨年2月にMIPS互換プロセッサ「Au1000」を発表,昨年夏には,市場に投入した。32ビットの「MIPS32」アーキテクチャをベースとしており,最大クロックは500MHz。400MHz動作時の消費電力は500ミリワットに抑えられているという「高速/低消費電力」が特徴だ。さらに約40ドルという価格の安さも見逃せない。
また,PCIインタフェースを装備したAu1500のサンプル出荷も始まっている。PCIという業界標準のインタフェース追加により,多様なネットワーキング・コンポーネントへの接続が可能となる。こちらは500MHz動作時の消費電力が1ワットだ。
今回の買収劇の説明のために来日したワールドワイドセールス担当副社長のMike McCourt氏は,Auプロセッサについて「競合製品に比べて約2倍のパフォーマンスを示し,低消費電力性能では3〜5倍もの効率の良さが特徴。電池の寿命が長く,熱を発生しないので,信頼性が高い。製造面ではSOCを導入しているので,低コストで生産できる」と語る。
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ワールドワイドセールス担当副社長のMike McCourt氏 |
さらに同氏は,「競合先としてはMIPS TECHNOLOGIESやARMがあるが,MIPSはパフォーマンスは高いが消費電力も高い。一方,ARMは消費電力は低いがパフォーマンスも低い。Alchemyのプロセッサは,高いパフォーマンスと低消費電力を兼ね備えているので,シンクライアントやウェブパッドといったIAデバイスやゲートウェイ製品に対応できる」と,競合製品と比べてのAuプロセッサ優位性をアピールする。
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Alchemyのプロセッサは高いパフォーマンスと低消費電力を兼ね備えている |
AMDコンピューティング製品部門担当副社長のDirk Meyer氏は,Alchemy買収の経緯について「PC分野へはこれまで同様力を入れていくが,一方でノンPCのソリューションへハイパフォーマンスで低消費電力の商品を追求していくことも必要と考えた。
Alchemyの持っている製品は,我々の持つ製品と非常に相乗効果を期待でき,補完的な役割も担ってくれる。Alchemyにとっても,AMDの持つリソースや市場性を足がかりに,大きく羽ばたくチャンスになると思う」と語っている。
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