News 2002年2月15日 10:06 PM 更新

富士通,2002年は単独首位か?

ガートナーの調査報告では,2001年の国内PC出荷台数で富士通とNECが同率首位でトップシェアとなった。ついに,王座交代の時が訪れた?

 ガートナー ジャパンのデータクエスト部門が2月15日に発表した2001年国内PC出荷台数の速報によると,出荷台数ベースのシェアで富士通とNECが同率首位(ともに21.1%)になった。富士通が首位に立つのは,1987年の調査開始以来,初めてという快挙である。

 それにしても,2001年の国内PC市場,特に個人向け市場はお寒い限りだった(ガートナーが“例外扱い”するソニーは別として)。全体の出荷台数は,1998年以来の前年割れという状況に陥り(1284万台,対前年同期比7.8%減),個人向け市場の構成比は,2000年の49.8%から約45%と5ポイントも下落した。

 「飛躍的な成長を遂げた2000年のリバウンド現象とも言える」(ガートナー)。

 2001年は,個人市場に強いNECにとってマイナス要素が多かったことは事実だ。その結果,昨年からシェアを0.4ポイント落とし,富士通に並ばれてしまった。

 だが,富士通とNECの力関係が逆転したというわけでもなさそうだ。「NECは2001年10月にPC事業を子会社化したことに関連して,シェアよりも収益改善を優先。昨年末商戦では店頭向けモデルの生産を絞った」(ガートナー)。つまり,NECは,名より実を取ったとも言える。

 そうなると,富士通がシェアトップに躍り出たのは,ある程度必然だった。「2001年は比較的マイナス度が低かった」(ガートナー)という中・大企業にはもともと強かったからである。

 では,今年,富士通が同率首位から単独首位に──というシナリオはあり得るのだろうか?

 残念ながら,ガートナーの予測を見る限り,2002年は富士通が首位の座を確保するのは容易ではなさそうだ。

 ガートナーでは,2002年の国内PC市場について,「ビジネス市場がマイナス成長,個人市場がプラス成長」と予測。全体では対2001年比で微減としているものの,「統計的に見ると,2002年夏以降に買い換え適齢期を迎えるユーザーが増加する」ことなどを理由に,個人向け市場に景気回復の期待を寄せている。NECが再び勢いを取り戻す可能性は十分ある。

 富士通に勝機があるとすれば,「個人市場では用途拡大による需要喚起は産業努力によるところが大きい」(ガートナー)という言葉を信じることだろう。「デジカメ3万台」よりは,「木村拓哉とビデオチャット」のほうが,消費者マインドを刺激するはず(?)である。

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[中村琢磨, ITmedia]

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