News | 2002年3月11日 10:56 PM 更新 |
伊藤忠商事の支援により,親会社の倒産というピンチを乗り切ったエキサイトは,「ページビューだけで金を生まないコンテンツはやらない」という新たな戦略を打ち出し,再出発を図る。年間12億円を稼ぎ出す出会い系サービス「エキサイトフレンズ」の成功を追い風に勢いに乗りたい新生エキサイトだが,果たして,第2,第3のエキサイトフレンズは生まれるのだろうか? 代表取締役ゼネラルマネージャーの山村幸広氏に話を聞いた。
エキサイト代表取締役ゼネラルマネージャーの山村幸広氏 |
ZDNet:出会い系サービスが調子いいようですね。
山村:PC版も一部有料化して,こちらは2002年に2億円の売上げを見込んでいます。エキサイトフレンズはわれわれにとって基幹サービスになっていますが,ただ,出会い系サービスが今後,年間数倍のペースで成長していくかというと,そうではないと思っています。
というのも,有料化することで,ユーザーの伸びは鈍化,または減少していくと見ているからです。さらに,未成年の利用についても何らかの対応をしなければいけない。こういいった要因を含めると,今のような勢いが続くのは,あと1〜2年でしょう。
ZDNet:エキサイトフレンズ以外にキラーコンテンツになるものがあるのですか?
山村:詳しくはまだ言えませんが,新しい課金コンテンツをいろいろと考えています。アイデアは10個ぐらいありますが,そのうち3つは実現させます。1つめは,検索サービスを変形したもの,2つめは,コミュニティ関連のもの,3つめは,今までに全くなかったタイプのものです。
ZDNet:今までに全くなかった……ですか。全くピンとこないのですが(笑)。
山村:ネットの世界にも,リアルの世界にも存在しなかったものとしか言えません(笑)。これら一連の新サービスは,この4月以降,順次立ち上げていく予定です。いきなりエキサイトフレンズのような規模になるとは思っていませんが,月間で3万人の有料会員,売上げで1000万円ぐらいにはしたいです。
もちろん,従来のサービスもブロードバンド化をするなど,継続して強化していくつもりです。ボイスチャットやビデオチャットなどですね。それから,翻訳でも有料の新サービスを立ち上げます。こちらは開発中で,現在プロトタイプしかないのですが,ユーザーのビヘイビアを大きく変えるものになります。翻訳は1日あたり120万ページビューの人気コンテンツなのですが,この新サービスは金を払ってでも使う価値のあるものになると自負しています。サービスインは5月の予定です。
ZDNet:先日の記者会見では,伊藤忠との連係の強さが強調されていましたが,米Excite@Homeの破綻で,伊藤忠が資本の引き上げるという話は全く出なかったのですか?
山村:全くなかったですね。実は,親会社であったExcite@Homeが破産を申請する以前から,日本側でExciteの経営権を取得しようという話が出ていました。というのも,Exciteと@Homeが合併し,次いで米AT&Tがマジョリティを握ったあたりから,サービスの中心がアクセス系になり,Exciteの部分については売り払う可能性があるという話が聞かれるようになったからです。
われわれと伊藤忠では,Exciteが競合相手や悪意のある企業に売却されることを懸念し,日本側で対応できないか検討しました。本当は,破産申請を行う前に,経営権をこちらに移したかったですね。当時は,ホスティングサービスの一部を米国で行っており,いつ債権者からサービス停止を求められるか分かりませんでした。状況は望ましくありませんでしたから。
伊藤忠がエキサイトの筆頭株主になっても,私がここにいるといことは,伊藤忠が現在のエキサイトのあり方について理解を示していてくれていることだと思っています。伊藤忠にとって,エキサイトが伊藤忠テクノサイエンス(CTC)に継ぐ成功例になるよう取り組んでいきます。
ZDNet:ADSLサービスを開始したヤフーは,Excite@Homeのビジネスに似ているという指摘もありますが。山村さんはどう見ますか?