News 2002年3月11日 11:59 PM 更新

独Infineonが台湾DRAMメーカー2社と提携──日本法人が会見

独半導体メーカーのInfineon Technologiesが,DRAM生産能力拡大に向けて台湾の半導体メーカーWinbond Electronics,およびMosel Vitelicの両社との提携に合意したと発表した。これを受け,同社の日本法人社長が,都内で会見を行った。

 独半導体メーカーのInfineon Technologiesは3月11日(現地時間),DRAM生産能力拡大に向けて台湾の半導体メーカーWinbond ElectronicsおよびMosel Vitelicの両社との提携に合意したと発表した。

 この提携により,同社は8インチウェハー換算で月間2万枚強のDRAMを増産できることになった。この増産分は,同社のDRAM総生産能力の10%を占める。この発表を受け,日本法人のインフィニオンテクノロジーズジャパン・森康明社長が,都内で会見を行った。


会見に臨むインフィニオンテクノロジーズジャパンの森康明社長

 Winbondとの提携は,InfineonがDRAMの先進的な製造プロセスである「トレンチ技術」のライセンスをWinbondに提供するかわりに,同技術を用いてWinbondが製造する標準DRAM製品に対してInfineonが独占的なアクセス権を獲得するというもの。

 またMosel Vitelicとの提携は,1996年より両社で設立した合弁企業ProMOS TechnologiesによるDRAM生産に対する取り分を,それまでの38%から48%に拡大するというものだ。

 現在DRAM市場のシェアは,DRAM生産全体の約1/4を占める韓国Samsung Electronicsがトップを独走し,そのあと2位の米Micron Technology,3位の韓国Hynix Semiconductor(旧Hyundai),そして4位のInfineonが横並びで激しいシェア争いを繰り広げている。

 今回提携したWinbondは,DRAMシェアでは5位だが,売上げでは4位のInfineonの半分にも満たない。上位4社までがDRAM市場の7割以上を占めているのだ。ちなみにMosel Vitelicは8位。ここまでのトップ8社で,DRAM生産全体の90%以上を占める。

 森社長は今回の提携について「将来的にDRAMの世界で生き残るためには,トップ4位に入っていなければならない。現在,DRAMメーカー同士の統合再編への動きが活発になってきているが,当社の提携の考え方は,買収してキャパシティを潰すといった後ろ向きなものではなく,お互いが手を取り合って共同でやれるパートナーシップを目指している。今回のように,投資などのキャッシュフローを発生させることなしにDRAMの生産能力をアップさせることが出来たことは,たいへん喜ばしい」と語る。

 Infineonは当初より,DRAMシェア20%を目標にしていることを明言していた。しかし森社長は,今回の提携が単なるシェアアップが目的ではないことを強調する。

 「当社は,他社との提携を模索しなければ生き残ってはいけないポジションの半導体メーカーとは違う。本国ドレスデン工場での300ミリウェハー生産がフル稼働してくれば,シェア20%到達は時間の問題とみていた。今回の提携は,それを早期に,確実にしていくためのものと理解してもらいたい。提携による生産能力アップによって,2〜3年後には間違いなくシェアを取れるとみている」(森社長)。

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[西坂真人, ITmedia]

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