News | 2002年3月13日 09:22 PM 更新 |
航空チケットに宿泊先や観光などをセットにした“パッケージツアー”ではなく,旅行経路や航空会社,ホテルなどをユーザーが自由にプランニングできるFIT(Free Independent Tour:個人手配旅行)と呼ばれる海外旅行スタイルが注目されている。そして,インターネットを利用したオンライントラベルサービスは,FITのような個人レベルのニーズに迅速に応える有効な手段として期待が集まっている。
タビニは3月13日,オンライントラベルサービス「タビニ(http://www.tabini.com/)」を3月26日より営業開始すると発表した。インターネット上で,海外旅行商品の検索から予約,購入,決済,チケットの配送まで一貫したシステムを提供。海外旅行でのさまざまな手配がインターネット上のシステムだけで行える“海外旅行のワンストップサービス”を目指すという。
タビニのサービスの最大の特徴は,国内外17社の航空会社と米国最大手のオンライン旅行会社のシステムをベースにしているという「信頼性」だろう。国内発着のほとんど全ての航空券を取り扱うほか,世界の5万軒以上のホテル,50以上のレンタカー会社の情報・サービスをリアルタイムで提供していくという。 「Travelocityのブッキングシステムは,旅行代理店のスタッフが使っているような専用端末の豊富な検索機能を,個人ユーザーでも使えるように簡易なコマンドで行えるようにしている。例えば,飛行機の座席の細かな指定もできるほか,ホテルも豊富な選択肢から選べるようになっている。また,ホテルを選んだ時に空港からホテルまでの詳細な地図も表示されるので,ユーザーはそれを印刷して持って行けばよい」(同社)。
そのほかタビニでは,予算内で渡航可能な都市を検索して世界地図上に表示することができる「ドリームマップ」や,路線ごとに希望金額を設定すればチケット料金が設定価格を下回ったときに素早くメールで知らせてくれる「フェアウォッチャー」,旅行日程の保存・仮予約や友人へメールで知らせる機能などがある個人のプランニングページ「マイページ」など,インターネットならではの独自機能を用意している。
同社は,国内外17社の航空会社が設立した持ち株会社のタビニホールディングスと,米国のオンライン旅行会社最大手のTravelocityとの共同出資会社として昨年6月に設立。出資比率はタビニホールディングスが70%,Travelocityが30%となっている。 タビニホールディングスは,日本航空,全日空,日本エアシステムの国内大手航空会社3社と,ノースウェスト航空,ユナイテッド航空の米国航空会社2社,キャセイパシフック航空,カンタスオーストラリア航空,シンガポール航空などアジア航空会社12社による共同出資で設立。国内航空会社3社で,50%以上を出資する。
既存の旅行会社にとって,脅威となるオンラインチケットサービス。それが,大手航空会社の共同運営となったらなおさらだ。 航空会社の共同サイトでは,国内線のチケット予約販売を行う「国内線ドットコム」が2000年11月に設立。日本航空,全日空,日本エアシステムの国内大手航空会社3社の共同運営サイトとして,2000年8月の設立発表当時から注目を集めていたが,営業開始が当初の予定から数カ月遅れるなど,航空会社共同のサイト運営はなかなかスムーズに進んでいない現実がある。
海外でも,航空会社共同のウェブサイトはなかなか思うようにいかないようだ。昨年6月に米系航空会社が共同で設立した共同旅行サイトOrbitzも,当初は2000年夏の立ち上げを予定し ていたが,米国の大手航空会社が中心となっていることから航空チケットの価格が固定化されることが懸念され,開設が1年以上もずれこんだという経緯もある。 今回のタビニに関しても,「国内線ドットコムの発表当時から,今回のような国際線共同サイトも検討されていた」(同社)にもかかわらず,結局は1年以上も遅れてのスタートとなった。
同社の椎名俊造社長は,この件について「当初はもう少し早い時期にスタートしたかった。(サービスの遅れは)航空業界と旅行業界との利害の不一致によるものではと揶揄された時期もあったが,日本独自のニーズを満たすためのシステムのローカライズ化に思いのほか時間がかかっただけ」と否定する。
「昨年の同時多発テロで旅行業界は打撃を受けたが,最近は徐々に回復しつつある。(サービスが遅れたことは)結果的にいいタイミングだったと思っている。旅行業界の一員として個人旅行の喚起に寄与できればと思っている」(椎名社長)。
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