News 2002年3月27日 00:14 AM 更新

ウワサの“カードサイズデジカメ”を見てきました

 CeBIT2002で,カシオ計算機が発表したカードサイズのデジタルカメラ「EXILIM」(エクシリム)。液晶ディスプレイ搭載のデジカメとしては“世界最薄・最小・最軽量”となるこの注目の新製品を,一足先に見せてもらった。

 ドイツで開催されたCeBIT2002で,カシオ計算機が発表したカードサイズのデジタルカメラ「EXILIM」(エクシリム)。液晶ディスプレイ搭載のデジカメとしては“世界最薄・最小・最軽量”となるこの注目の新製品を,同社におじゃまして一足先に見せてもらった。(スペックの詳細は別記事を参照)


“世界最薄・最小・最軽量”のカードサイズデジカメ「EXILIM」

 ウワサの“カードサイズ”とは,一体どのくらい小さいものなのか。発表されたスペックでは,88(幅)×55(高さ)×11.3(奥行き)ミリ(上位モデルは奥行き12.4ミリ)となっているが,数字を見てもピンとこないので,早速クレジットカードと比較してみた。重ねてみると,レンズ部がわずかに出るだけのまさにカードサイズに仕上がっているのが分かる。


まさに“カードサイズ”のEXILIM

 これまでもカードサイズや名刺サイズを謳ったデジカメは各社から登場しており,最近では京セラのS4や,東芝のAllegretto 3310が名刺サイズをアピールしている。

 しかしこれらのデジカメは,幅と高さはカードサイズながら,奥行きが30ミリ以上となっており,カードというよりタバコの箱に近い。一方のEXILIMは,奥行きも11.3ミリだ。実際に手にとってみると,その薄さが実感できる。

 薄型ボディを可能としたのは,CPU,ASIC,SDRAM,フラッシュメモリを一体化した「マルチチップモジュール」など,同社が得意とする高密度実装技術だ。「マルチチップモジュールによって,基板面積で従来比70%の小型化を実現した。1モジュール化はノイズ低減にも貢献し,ノイズを除去するパーツもいらなくなる」(同社)。


同社が得意とする高密度実装技術によって実現した薄型ボディ

 「デジタルカメラでは初」(同社)というデジタルインタフェースTFT液晶を搭載している点も,小型化に貢献している。「従来のアナログインタフェースでは,RGBに変換するコンバータが本体内に必要だった」(同社)。


デジカメ初の搭載となるデジタルインタフェースTFT液晶

 このような最新技術によってカードサイズを実現したEXILIM。しかし,単なる小ささ・薄さよりも,その超小型ボディにデジカメの基本スペックをしっかりと搭載している点にむしろ注目したい。

 実際,CMOSセンサを使った1万円以下のデジカメの中には,もっと薄型も登場しており,先日発表された富士フイルムアクシアのeyeplateは,EXILIMよりもさらに薄い6ミリという奥行きとなっている。しかし,暗所撮影に弱いCMOSセンサや,内蔵メモリのみの記録,35万画素程度の解像度では,やはり“トイカメラ”の域から脱していない。

 EXILIMは11.3ミリの奥行きに,131万画素(有効124万画素)CCDと単焦点レンズ,1.6型液晶ディスプレイ,内蔵フラッシュメモリ,SDメモリーカード(MMC)スロット,リチウムイオン充電池など,ローエンドモデル並みの基本性能は押さえている。特に,EXILIMのために新開発したというレンズ・CCD一体型モジュールによって,クラスを超えた高感度撮影を可能にしている。


新開発のレンズ・CCD一体型モジュールを搭載

 通常,130万画素クラスでは1/3.2型のCCDを使うが,EXILIMでは少し大きめの1/2.7インチの正方画素原色プログレッシブCCDを採用している。

 「大きめのCCDは感度アップにつながる。薄暗い室内でもフラッシュなしで撮影できるほか,通常の明るさならより高速なシャッターを切ることができ,小型カメラには避けられない“手ブレ”を抑えることができる」(同社)。

 さらに上位モデルでは,MP3ファイル再生機能と音声付き動画撮影機能,ボイスメモ機能も装備する。大容量タイプも登場してきたSDメモリーカードを利用して,シリコンオーディオプレーヤーやICレコーダー代わりになるというのも,魅力的な機能だ。


SDメモリーカードには,デジカメ画像だけでなく,音楽,動画,音声も記録可能だ

 バッテリーは,独自の薄型リチウムイオン充電池を使用。フル充電で約400枚の撮影が可能だ。本体とバッテリーの大きさを比べてみると,いかに少ないスペースにモジュールが実装されているかが分かる。


バッテリーは,独自の薄型リチウムイオン充電池を使用

 さて,一番気になるのは価格と発売時期だ。この点について同社は,「まだ開発段階なので価格に関しては不確定だが,CeBITの記者発表では“上位モデルで500ユーロ以下,今年前半には発売する”とコメントしていたので,国内でも同じような価格・時期で登場することになるだろう。7月までには発売できるのでは」と話している。

 3月26日時点の為替レートでは1ユーロ116円なので,500ユーロでは5万8000円となる。MP3再生機能などを搭載しない下位モデルでは,さらに1万円前後安くなるだろう。

 このEXILIM,実はデジカメ普及期の立役者「QV-10」と深い関係があるという。


デジカメ普及期の立役者「QV-10」

 「2000年の春から取り組んだEXILIMの開発には,かつてQV-10を開発したエンジニアに,通常のデジカメ開発チームから外れて専念してもらった。QV-10開発のコンセプトは“いつでもどこでも誰でも楽しめるデジカメ”。EXILIMは,このQV-10の原点に立ち戻って,銀塩カメラにはできないことを追い求めていくためのデジカメ第一弾と位置付けている」(同社)。

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[西坂真人,ITmedia]

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