News 2002年5月9日 05:34 PM 更新

オリンパス、基本性能を充実させたUSBデジタル顕微鏡を発表

オリンパス光学工業が、USB接続のデジタル顕微鏡「MIC-D(ミック・ディ)」を発表した。ロングセラー商品のデジタル版という位置付けで、顕微鏡としての基本性能を持ちながら、デジタル処理による“楽しさ”が付加されている。

 オリンパス光学工業は5月9日、顕微鏡の映像をPCのモニタに映し出せるUSB接続のデジタル顕微鏡「MIC-D(ミック・ディ)」を発表した。6月3日から発売し、価格は9万9800円。


デジタル顕微鏡「MIC-D(ミック・ディ)」

 1920年に国産初の量産型顕微鏡「旭号」を世に送り出した同社は、顕微鏡市場では国内・海外ともにトップシェアを誇る。特に、教育用顕微鏡として1958年に発売した「MIC」は、発売当時のスタイルをほとんど変えずに、40年以上も継続販売されている息の長い商品だ。


国産初の「旭号」と、ロングセラーの教育用顕微鏡「MIC」

 今回のMIC-Dは、その名が示すようにMICのデジタル版という位置付けで、主に教育市場を狙っている。顕微鏡としての基本性能をおさえながら、デジタル処理による“楽しさ、使いやすさ”を付加した。


教育用顕微鏡「MIC」のデジタル版として位置付けられたMIC-D

 PCに映し出せる安価なデジタル顕微鏡としては、インテルが2000年3月に発表した「Intel Play QX3 コンピュータマイクロスコープ」がある。価格が1万4800円とリーズナブルだったこともあって話題になったが、総合倍率が10/60/200倍の3段階しか選べない点や、固定照明なのでライティングの角度が変えられない点、プラスチックベースの本体など、本格的な観察に使うには機能面で不十分な点も多く、“玩具”の域を超えていなかった。


安価だが“玩具”の域を超えていない「Intel Play QX3」

顕微鏡としての基本性能を充実

 「教育市場などでの本格使用に対応するため、顕微鏡としての基本性能を充実させた」(同社)というMIC-Dは、同社の高級実体顕微鏡「SZX12」と同等のズーム比(13対1)持つ光学系を搭載し、0.7〜9倍まで無段階の倍率変化を可能とした。総合倍率は22〜255倍となる(モニターの画素ピッチが0.3ミリとして算出した場合の観察倍率)。

 また、ズームと連動する自動調光機能を採用。「倍率を変化させても白トビ・黒トビがなく、初心者でも思い通りの観察が行える」(同社)という。さらに、5ミリの範囲で自由可動し、360度水平回転する「グライディングステージ」を装備する。


高級機と同等の光学系などを装備。PCとの接続はUSBケーブルを使用

 本体内部に1/3インチ31万画素CMOSイメージセンサーを搭載し、観察画像をデジタル変換してPC上にに映し出すことができる。ただし、従来の光学式顕微鏡にはあった接眼レンズは装備していないため、観察はPC上のモニタを通じてのみとなる。画像データはVGA(640×480ピクセル)とQVGA(320×240ピクセル)の2種類で、静止画だけでなく動画(AVI、MPEG-1)撮影も行える。

 PCとの接続は、USBケーブルを使用。電源はUSBのバスパワーから供給されるため、ACアダプタなどは必要ない。観察・保存・編集・印刷という一連の作業は、専用ソフトを使ってシンプルな操作で行える。OSは、Windows98(SE)/2000/Me/XPに対応する。ただ、教育現場で利用の多いMac OSには対応していない(同社によると、今後も対応予定はないという)。

 今回のMIC-Dは、観察時に必ずPCが必要となる点がやや不便だが、観察記録や画像の編集などが容易にでき、ホームページへの掲載やメール添付などが簡単に行える点はデジタル機器ならではの機能だ。また、これまで接眼レンズがあった場所に自由に動かせる照明が設置できたため、バラエティに富んだ観察が行えるようになった点にも注目したい。

 「ステージ上に置いたプレパラート標本など、光を透過する透明な標本を観察する場合は、照明を真上から当てるが、照明を斜め上から当てることで標本にコントラストをつけた観察も行える。また、標本の斜め下から照明を当てることにより、シャーレの中の観察や光を透過しないものも観察できる。さらに、ステージ上に載らない大きなものは、MIC-Dを逆さにして観たいものに直接当てて観察するといった使い方もできる」(同社)。


逆さにして観察するといった使い方もできる

 主な仕様は以下の通り。

製品名MIC-D(ミック・ディ)
形式倒立型顕微鏡
撮像素子1/3インチ31万画素CMOSイメージセンサー
ズーム倍率0.7〜9倍(観察視野7.7×5.7ミリ〜0.6×0.4ミリ)
総合倍率22〜255倍(モニターの画素ピッチが0.3ミリとして算出した場合の観察倍率)
ステージグライディングステージ
撮影画像サイズVGA(640×480ピクセル)、QVGA(320×240ピクセル)
画像フォーマット静止画:JPEG、TIFF、BMP / 動画:AVI、MPEG-1
対応OSWindows98(SE)/2000/Me/XP
重さ約1.6キロ
電源USBから供給

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[西坂真人,ITmedia]

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