News 2002年5月14日　08:50 PM 更新

アスク、シリアルATA対応RAID CARDを公開――発売は今年9月中旬

アスクが、期待の新インタフェース規格である「シリアルATA」に対応したRAID CARDの試作機をマスコミ向けに公開した。「ATA RAIDコントローラメーカーは何社かあるが、シリアルATAを製品として具現化したのは初めて」（同社）という

　アスクは5月14日、米3ware社が開発したシリアルATA RAID CARD「エスカレード7C80（仮称）」の試作機をマスコミ向けに公開した。同社では、今年9月中旬に同製品を発売する予定。「ATA RAIDコントローラメーカーは何社かあるが、シリアルATAを製品として具現化したのは3wareが初」（同社）という。価格はいまのところ未定だが、15万円前後になる見込み。


シリアルATA RAID CARD「7C80（仮称）」

　HDDなど各種記憶装置とPCとを接続するインタフェースの新規格であるシリアルATAは、2000年11月に業界団体「Serial ATA Working Group」によって仕様が策定された。現在普及しているパラレルATA（Ultra ATA/100）インタフェースのおよそ2倍の帯域幅を持ち、最初の仕様規格「Ultra SATA/1500」で、毎秒約190Mバイト（約1.5Gbps）の高速データ通信を可能にする。さらにシリアルATAのロードマップでは、2004年には毎秒約380Mバイト、2007年には毎秒750Mバイトと、転送スピードも引き上げられる予定だ。

　エスカレード7C80は、シリアルATA Ver1.0のディスクインタフェースを搭載し、接続ディスク数は最大12ドライブとなる。会場では、4台のMaxtor社製HDDをエスカレード7C80にRAID接続（RAID 10）し、PCを動かすデモンストレーションが行われた。PC上ではベンチマークソフトを使って転送速度の計測が行われ、Winbench99の値では毎秒110M〜115Mバイトをコンスタントに叩き出すなど、シリアルATAインタフェースの高速転送性能をアピールした。

　「今回のシステムは32ビットバスだが、バス幅を64ビットにすれば毎秒150Mバイトに近くなる」（同社）。


4台のMaxtor社製HDDをエスカレード7C80にRAID接続


Winbench99の値は、コンスタントに110M〜115Mバイト/秒をマーク

　以前から、シリアルATAインタフェース対応製品は今夏ぐらいから登場するといわれていた。スタート時は、ハイエンド向け製品が中心になると予想されていたが、やはりRAID製品のような高額商品からということになりそうだ。 　3ware日本事務所の橋本博文氏は「コンシューマユーザーがシリアルATAインタフェースの恩恵を受けるようになるのは、早くても2003年の夏以降になるのでは」（同氏）と予測している。

　「その時期になればHDDメーカー各社がシリアルATA対応HDDの量産を開始するため」（橋本氏）というのが、シリアルATAが来夏頃にコンシューマへ普及するという理由だが、今年に入って各ベンダーに向けてサンプル出荷がやっと始まったという状況などをみると、ドライブメーカーの動きは予想以上にゆっくりしているようだ。

　同社でも、今回のシリアルATA RAID CARD発売当初は、シリアルATA対応HDDの入手が困難なことが予想されるため、従来のパラレルATA用HDDをシリアルATAに変更する「シリアル／パラレル変換ボード」をオプションで用意することで、製品不足に対応していく。


「シリアル／パラレル変換ボード」

　シリアルATAは、シリアル転送方式によってシンプルなケーブルで高速な転送速度を実現することができる。今回のデモ用システムに使われていたケーブルも非常にスマートで、従来のパラレルATA用に比べてもフレキシブル性が高い。


「シリアルATA用ケーブルの扱いやすさに期待が集まっている」（橋本氏）

　「IDEケーブルの長さは約50センチ以下という制限があるが、シリアルATAならケーブルの長さは従来の2倍となるためケーブルの扱いやすさにも期待が集まっている。また従来のIDE配線は放熱を妨げてしまうほどかさばっていたが、シリアルATAにすることで配線の簡素化による冷却効果アップも期待できる」（橋本氏）。

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[西坂真人, ITmedia]

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