News 2002年5月17日 08:43 PM 更新

ついに出荷が始まるDVD Multi対応ドライブ

DVD Multiに対応したドライブの出荷が、いよいよ今夏から開始される。その第一弾は日立LGデータストレージの開発した「GMA-4020B」だ。かねてより期待の高い同規格対応ドライブの登場で、記録型DVDをめぐる競争はさらにヒートアップしそうだ

 以前から話題になっていたDVD Multi対応ドライブだが、なかなか製品の出荷が開始されなかった。しかし、夏のボーナス商戦から、ついにその出荷が始まる。DVD Multi対応ドライブの第一弾は、日立LGデータストレージ(以下、日立LG)の開発した「GMA-4020B」だ。

何でもありの記録型DVDドライブ

 日立LGの開発したGMA-4020Bは、DVDフォーラムが策定した「DVD Multi」に対応することが最大の特長だ。このDVD MultiはPC向けドライブやCE(Consumer Electronics)向け製品の仕様を定めた規格で、DVDフォーラムで規定されたすべてのフォーマットの読み出し(再生)、または読み出しと書き込み(記録)の両方を行えることが条件になっている。

 再生専用と記録型に大別され、PC向けの「DVD Multi Drive Read-Only」及び「DVD Multi Drive Writable」と、CE向けの「DVD Multi Player」及び「DVD Multi Recorder」の4つのカテゴリが規定されている。

 PC向けのカテゴリは、主に物理フォーマットの記録/再生についてのドライブの条件で、CE向けのカテゴリは、物理フォーマットだけでなくCE用の用途を見据えた条件となっている。というのも、PC用のドライブでは、ソフトウェアを使用することで、様々な用途で使用できるが、CE用のDVD Multi Player/Recorderでは、単体で使用することになるため、使用用途が限定される。

 このことから、CE用のカテゴリでは、さらに細かく分類がなされており、Video、Audio、Video/Audio両対応の3つのカテゴリに分けられる。Videoに対応した製品をDVD Multi Video Player(ないしRecorder)、Audioに対応した製品をDVD Multi Audio Player(またはRecoder)、両対応の製品をDVD Multi Video/Audio Player(またはRecoder)と呼ぶ。

 そして、それぞれがカテゴリごとにDVD-ROM/R/RW/RAMの物理フォーマットをサポートするだけでなく、論理およびアプリケーションフォーマットをサポートする必要がある。

 例えば、再生専用のDVD Multi Video Playerでは、DVD-Video及びDVD Video Recordingの再生が行える必要があり、記録型のDVD Multi Video Recorderでは、再生と記録の両方をサポートする必要がある。DVD Multi Audio Player/RecorderやVideo/Audio両対応の製品でも、同様だ。

 PC用のDVD Multi Drive Read-Onlyでは、前述のDVD-R/RW/RAMなどの物理フォーマットの再生に加え、「Disc At Once(以下、DAO)」や「Incremental Recording」を使用して書き込まれたDVD-R/DVD-RWメディアの読み出しを行える必要があり、同時に2Kリンク、32Kリンク、0リンクの3種類のリンク方式を用いて書き込まれたメディアの読み出しを行える必要がある。

 リンク方式とは、書き込みを停止/再開した場合に挿入されるリンクブロックのことだ。通常、Incremental RecordingやMulti Borderを使用し、追記を行った場合に使用される。DVDフォーラムでは、この場合に、2Kリンクまたは32Kリンクを用いることを推奨している。0リンクは、DVD+RWアライアンスの策定したDVD+RW/+R規格で使用されいるロスレスリンキングと同じものである。要するにリンクブロックを挿入することなく、書き込みデータをつなぐことである。現在発売中のDVD-R/RWドライブやDVD-RAM/Rドライブなどでバッファーアンダーランエラーが発生しないのは、この0リンクにドライブが対応しているからである。

 DVD Multi Drive Writableでは、DVD Multi Drive Read-Onlyの条件にプラスして、その書き込みを行えるようにしたものである。DVD Multiに対応した日立LGのGMA-4020Bは、これに対応した世界初のPC用の記録型DVDドライブということになる。

DVD Multi+CD-R/RW=スーパーマルチ

 GMA-4020Bのもう1つの特長が、記録型DVDドライブにCD-R/RWドライブとしての機能もプラスした製品ということだ。DVD-Rへ2倍速、DVD-RWメディアへ1倍速、DVD-RAMへ2倍速、CD-Rへ12倍速、CD-RWへ8倍速のスピードで書き込みを行え、DVDは最大10倍速、CDは最大32倍速の読み出しを行える。正式サポートされた記録/再生可能なメディア種類は、CD/DVDの合計で7種類にも及ぶことから、「スーパーマルチ」の愛称をもつまさに、"マルチ"なドライブである。

 また、この製品は、2MBのバッファが搭載され、CD-R/RWメディア書き込み時には、「Super Link」と呼ばれるバッファーアンダーラン防止技術も搭載している。接続インターフェースには、ATAPI(UltraDMA66対応)が作用され、縦置きで使用することもできる。

 ただし、この製品は、一般的なCD/DVDドライブと同様に“普通”のトレイが採用されている。このため、DVD-RAMメディアをサポートしているとはいっても、カートリッジ付きのメディアをそのまま使用することはできない。DVD-RAMメディアを使用する場合は、カートリッジからメディアを取り出し、DVD-R/RWメディアのように剥き出しの状態で使用する必要がある点には注意が必要だ。

 さらにもう1点、ドライブが2倍速書き込みに対応しているからといって、現在市販されているすべてのメディアに対してそのスピードで書き込みが行えるわけではないという点にも注意する必要がある。これは、現状のDVDフォーラムの規格では、「1倍速」書き込みまでしか、規格化が行われていないためである。

 というのも、DVDフォーラムでは、メディアの記録品質や相性問題を解消するためにメディアの書き込みに使用するライトストラテジを含めて規定し、ベリファイケーションラボも設置している。そして、各社の開発したメディアは、この機関で必ずチェックが行われる。

 このため、現在発売中のメディアは、規格上は、あくまで1倍速のみをサポートしたもので、2倍速書き込みは、GMA-4020BだけでなくパイオニアのDVR-103/A03やDVR-104/A04を含め、開発メーカーが独自に対応したものにすぎない。2倍速以上の正式な規格による対応は、夏ごろに予定されているDVD-Rへの4倍速への高速化提案が採択されるのを待つ必要がある。

DVD Multiの登場で競争が激化する!?

 4月にDVD+R対応のMP5125Aの出荷が始まり、5月には、DVD Multi対応のGMA-4020Bの出荷が遂に始まる。これによって、記録型DVDは、物理フォーマットだけでなく、製品展開を含め、PC向けの製品は、そのすべてが登場することになる。特にDVD Multi対応の製品は、DVDフォーラムのすべての物理フォーマットに対応することから注目していたユーザーも多いはずだ。

 現在のところ、GMA-4020Bは、PC組み込み向けに優先的に出荷が開始されるようだ。日立やLGブランドでのパッケージ販売が予定されているという噂も耳にするが、これは確実な情報ではない。このため、この製品を入手するためには、すでに採用が決まっているNEC製のパソコンを購入するしかない。ただし、この製品の初期出荷の量は、かなり少ないという情報もある。安定的に供給できるようになるには、多少の時間が必要となる可能性もありそうだ。

 間違いなく便利なこの製品が、海外を含めどのくらい市場に受け入れられるか。今後の記録型DVDスタンダードを争う戦いの中で、それが1つのターニングポイントになるかもしれない。

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[北川達也, ITmedia]

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