News | 2002年5月20日 11:53 PM 更新 |
旭光学工業が発表したデジタルカメラ機能付き双眼鏡「ペンタックス DIGIBINO(デジビノ)DB100」。倍率7倍の双眼鏡に有効80万画素のデジカメ機能を搭載し、双眼鏡で見たままの視野をデジタル画像で記録することができる。明日(5月21日)発売予定の、話題の新製品を一足先に触ってみた。
DIGIBINOのスペックで目を引くのは、最大1/8000秒という高速シャッターだ。発表会では、飛び立つ鳥の水しぶきまで撮影できることをアピールしていた(別記事を参照)。
そこでさっそく、DIGIBINOの高速シャッターを生かした撮影を実験してみた。被写体は、4月頃から姿を見せ始めたカモメの仲間のコアジサシ。全長30センチ弱と小柄ながらビュンビュンと元気に飛びまわるため、カメラで撮影するのが難しい水鳥の一種だ。翼と尾を動かして空中の一点に停止する「停空飛翔(ホバリング)」をしてからまっさかさまに水中に飛び込み、小魚を捕食するといったユニークな芸当も見せてくれる。
まずは、飛んでいる様子を撮影。DIGIBINOはマニュアルフォーカスなのだが、鳥を追いながらピントを調節するというということは難しい。そこで、あらかじめピントを一定の距離にセットしたままで撮影する「置きピン」という手法を使った。高速シャッターの効果で、羽ばたいている一瞬一瞬がピタリと静止したキレのよい画像が撮影できた。
続いて、コアジサシならではのシャッターチャンスともいえる、魚を捕るために水面にダイブした様子だ。DIGIBINOのシャッタースピードはオートのみとなっており、ユーザー側で設定・確認することはできないが、画像のメタデータを調べたところ、1/1000秒という速さでシャッターが切られていた。このような高速撮影によって、ダイブしたときの水しぶきまでもしっかり写すことができた。
シャッタースピードとともに、特筆したいのが高速応答性。DIGIBINOでは、秒間5コマ、最大10コマの連続撮影が行えるが、連写モードでなくても、レリーズタイムラグや撮影間隔をほとんど感じることなく、どんどん撮影できる。ちなみに、コアジサシの撮影では連写機能を使わなかった。DIGIBINOのクイックレスポンスが、シャッターチャンスの強さにもつながり、コアジサシの捕食の一瞬を逃さずに撮影できたのだ。
そのほか光学7倍という高倍率を生かして、普段は近寄れないような鳥も警戒されずに撮影できた。鳥ばかりでなく、普段カメラを向けづらい被写体なども、双眼鏡のスタイルをしたDIGIBINOなら気軽に撮影することが可能だ。双眼鏡は単焦点の固定倍率(6〜10倍)が最も使いやすい。DIGIBINOの光学7倍固定倍率というのは、双眼鏡の基本に沿ったスペックといえる。
速い動きの被写体に強いDIGIBINOは、スポーツ観戦にも最適だ。草野球の1コマでは、高速なシャッターのおかげでピッチャーが投げたボールが止まっているかのように撮れている。そのほか、(本当はいけないのだろうが)オペラ鑑賞やコンサート、美術館などで、普通の双眼鏡で見ているフリをしながら写真を撮ってしまうということもできそうだ。
“観ること”を楽しみながら撮影できる
DIGIBINOを通じて、双眼鏡の便利さをあらためて実感した。もともとが双眼鏡のDIGIBINOは、“観ること”が主役なのだ。同社がいう「双眼鏡の視野を“見ながら”“見たまま”記録できる」というDIGIBINOのコンセプトは、スペック以上の楽しさをユーザーに与えてくれる。これは、撮影に集中しなければいけいないデジカメでは、なかなか味わえない。
“双眼鏡”のDIGIBINOを、デジカメと同じ土俵で見てはいけない。例えば、「有効80万画素」「ズームがない(短焦点)」「マニュアルフォーカス」など、普通のデジカメではマイナスとなる点も、双眼鏡に搭載したデジカメの機能としてみると、それほど不満に感じない。
唯一、DIGIBINOで不満に感じたのは操作性。例えば、液晶モニタを倒すと、ピント調節リングが隠れてしまう。液晶モニタを開けっ放しにすればいいのだが、双眼鏡としてはスマートとはいえない。今回の撮影では、一度も液晶モニタを見ながらの撮影はなかっただけに、次期モデルでは改善してもらいたい点だ。
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[西坂真人, ITmedia]
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