News 2002年6月5日 10:29 PM 更新

「注目は記録型DVD、課題は規格の統一化」――JEITAが光ディスク装置の調査報告

電子情報技術産業協会(JEITA)が「情報端末フェスティバル2002」の中で光ディスク関連機器の調査報告を実施。市場動向や2001年の実績、2004年までの需要予測などのほか、記録型DVDや青紫レーザー光源を使った次世代規格について語られた

 電子情報技術産業協会(JEITA)は6月5日、都内で催された「情報端末フェスティバル2002」の中で光ディスク関連機器の調査報告を実施。同分野の市場動向や2001年の実績、2004年までの需要予測などを説明した。

 PC用光ディスク装置の全世界出荷台数は、2000年に1億8855万台となるなどPCの普及に合わせて大きく成長していたが、2001年は一転して約1億7555万台とマイナス成長となった。この件について、JEITA光ディスク専門委員会の吉田紹一委員長は「IT不況の影響もあるが、2000年は需要に対して供給数がオーバーしていた。2001年はそれを調整するために出荷が減った」と、2001年のマイナス成長は、メーカーの生産調整によるものが大きいと分析した。

 JEITAの予測では、2001年の後半から回復基調となり、今後数年間は年率数%の成長で推移。2004年には、全世界の出荷台数が2億1000万〜2億2000万台に達するとみている。

 ただし、その内訳は大きく変化しそうだ。JEITAによると、2001年では出荷全体の半分以上を占めていたCD-ROMが年々減少し、代わってCD-R/RWやDVD-ROMが大きく成長。両ドライブを複合したコンボドライブも、ノートPCや省スペースデスクトップPCを中心に順調な伸びをみせるという。

 光ディスク装置での注目は、記録型DVDだ。PC用の売れ行きが好調なDVD+RW に加え、今夏〜秋にはDVD-R/RW/RAMフォーマットを統合したDVD Multi対応ドライブが各社から登場する。

 「記録型DVDは、2002年後半から2003年前半にかけて本格的に出荷台数が拡大し、参入メーカーも増加。2004年にはその市場は1800万台になると予測している。記録型DVDをPCに搭載することで付加価値を高めたいというPCメーカー側の思惑も、需要に拍車をかけるだろう」(吉田氏)。

 また、JEITAが2001年11月15日〜2002年1月15日の期間で調査したエンドユーザーの光ディスク装置利用動向も報告された。調査は、インターネットへアクセス可能なユーザーを対象に実施。8973件の有効回答が寄せられた。

 報告では、ユーザーが1人平均1.92台と複数台の光ディスク装置を所有しており、今後買いたいと思っている光ディスク装置には、全体の9割以上が記録型DVDを挙げたことが明らかにされた。

 一方、光ディスク装置への要望の中で一番多かったのが「規格統一化」。記録型DVDが今まさに直面している課題が、ユーザーの要望でもトップにきている点が興味深い。規格統一化に関するユーザーのコメントには「消費者不在の争いで、不利益を受けるのは結局消費者」、「選択に困る、購入できない」、「長期に使用できるメディアが欲しい」といった意見が寄せられた。

 「光ディスク装置の規格統一化を望む声が多く寄せられたのは興味深い。ユーザーは記録型DVDに高い関心を示しているが、購入に対しては慎重になっている」(JEITA)。

 光ディスク装置の技術トレンドに関する調査報告では、次世代規格として注目されている青紫レーザー光源を使った光ディスク装置について語られた。

 日本では、少なくとも8社のメーカーが青紫レーザー光源の研究開発を行っているが、JEITAではこのうち4社を調査。青紫レーザー光源は寿命が短い点が課題とされているが、その中の数社では、記録用として十分実用化できる寿命をすでに達成していることが分かったという。

 「しかし、量産化にあたっての信頼性やコスト面、特許問題など課題も多い。規格の統一には、ユーザーの利便性を第一に考えていくことも必要。20Gバイト以上の容量を何に使うかといったコンテンツの問題もある。やがてくるであろう“青の時代”に向けて、業界のコンセンサスをはかっていきたい」(JEITA)。

関連リンク
▼ 電子情報技術産業協会(JEITA)

[西坂真人, ITmedia]

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