News 2002年6月10日 03:32 PM 更新

っぽいかもしれない
「金環日食」がやってくる

明日、6月11日の朝、太陽がリング状になる「金環日食」が見られる。もちろん、今年もライブ!ユニバースがライブ中継を実施する。幻想的な映像を体験するために、雲がかからないことを祈ろう

 日本時間の6月11日朝、インドネシアから太平洋を通ってメキシコまでの範囲で、「金環日食」が見られる。そして、今回の日食も「ライブ!ユニバース」によって、インターネット中継されるのだ。

 ご存じの通り、日食とは、太陽が月によって隠されてしまう現象。太陽―月―地球がきれいに一直線上に並ぶことを言う。このとき、宇宙空間から見ると、月の丸い影が地球の上に落ちているのが見える。この影の中にいる人は日食が見られるというわけだ。また、影から少し外れた人(正確には半影の中にいる人)からは部分日食が見えている。

 地球や月が動くのに伴い、この影は次第に地球上での位置を移動していく。今回はそれが、インドネシアからメキシコに至るというわけだ。

 よく知られているように、地球から見たときの月と太陽の見かけの大きさはほとんど同じだ(これは偶然)。天体の位置関係によって月のほうが大きいこともあるし、太陽のほうが大きいこともある。そして、日食のとき、月のほうが大きいときだったら、太陽はすっぽりかくれる。「皆既日食」になるわけだ。今回は、たまたま太陽のほうが大きいときに当たった。太陽は完全に隠れず、月の周りにリング状に残って見える。金環日食だ。

 金環日食は皆既にくらべると“派手さ”には欠ける。皆既には、完全にかくれる直前、再度戻りだした直後にダイヤモンドリングという、ものすごくきれいな瞬間があるのだ。金環の場合は、そういうのはない。でも、太陽がリング状になるというのは、金環日食でしか見られない光景だ。幻想的な(あるいは神秘的な)ものになる。

 ライブユニバースは、“好きなやつら”が集まった非営利団体。いままではライブ!エクリプス実行委員会という形だったのだけど、いよいよ組織として本格化したようだ。彼らによる日食の中継は、1997年のモンゴル・シベリア皆既日食から始まり、今回が9回目。その都度、中継技術がどんどん進歩しているのがおもしろい。

 特に、1999年8月の皆既日食は、日食が見られる地域がヨーロッパから西アジアという人口密集地だったこともあり、9つの都市にカメラを設置、日食が起きている場所が次第に移動してく様子を目の当たりにすることができた。月の影が地球の上を走っていく様子を疑似体験できたのである。

 昨年6月の皆既日食では、アフリカ南部の3カ所にカメラを設置。前回のような地球規模の感動はなかったけど、日食そのものの美しさは堪能できた。2年の間にブロードバンド化が進んで、高画質の画像を送っても大丈夫なようになったのだ。


昨年6月の中継での、ニャマパンダ(ジンバブエ)の皆既終了の瞬間。今回はどんなふうに見られるだろう

 今回の金環日食は、テニアン島(マリアナ諸島)とプエルト・バイヤルタ(メキシコ)から中継される(その途中は海ばっかりなのだ)。また、部分日食にしからならないけど、漢陽大学(ソウル)、日本科学未来館(東京都江東区)、中之島(鹿児島県十島村)からも中継される。

 中継のサイトは、http://www.live-eclipse.org/jpn/。今回の日食に関する情報が得られるから、事前に見ておこう。こういうイベントはある程度予備知識があったほうがおもしろくなる。また、当日は、回線の負荷を下げるため、このサイトの内容が、もっとシンプルなものに変更されるものと予想される(前回はそうだった)。

 ストリームのフォーマットは、QuickTime、Real Player、Windows Media Playerの3種類。持っていない人は、事前に入手しておこう。なお、ライブであるから、何があるかわからない。できれば3つのプレイヤー全部を用意しておいたほうがいい。

 中継は2部に分けて行われる。

 第1部は6時2分(これを含め、以下の時刻は全て日本時間)、テニアン島で欠けはじめるところからスタート。金環日食となるのは、7時10分ごろ。継続時間は53秒。これが第1部のクライマックス。

 第2部は9時31分のプエルト・バイヤルタの欠けはじめから始まる。クライマックスは、10時33分〜38分ごろ。この地域では、太陽は金環となったまま日没してしまうのだ。つまり「沈む金環日食」が見られるはずである。雲さえなければ。これが、全篇のクライマックス。

 この間、状況に応じて日本や韓国からの部分日食の映像も中継する。でも、これは、実物を見たいよね。もっとも、当たり前の注意をするけど、太陽を直接見ることはしてはいけない。かつては、「すすをつけたガラスや、真っ黒になった白黒ネガフイルム(カラーはダメ)を通して見るように」などと言われていたが、最近では、それでも危ないというということになっている。ピンホールやレンズを使って紙などに投影させたものを見るのが良いそうだ。

 では、当日雲がかからないことを祈ろう。メキシコまで。

関連リンク
▼ ライブ!ユニバース

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