News 2002年6月11日 07:22 PM 更新

テンプスタッフ、ITエンジニア派遣で「若者の雇用創出」

雇用のミスマッチや慢性的な人材不足が指摘されるITエンジニア。人材派遣のテンプスタッフではIT業界に特化した人材ビジネス専門会社を設立し、即戦力のITエンジニア供給を推進する

 テンプスタッフは6月11日、IT専門事業部門を分離独立し、IT業界に特化した人材ビジネス専門新会社「テンプスタッフ・テクノロジー」を設立したと発表した。労働者派遣事業認可予定の8月よりサービスを開始する。テンプスタッフは、慢性的な人材不足や雇用のミスマッチが叫ばれるITエンジニアの派遣ビジネスで大きな成長が期待できると判断。新会社は、国内最大のITエンジニア供給企業を目指すとしている。

 派遣先の企業が求めるITエンジニアは、当然ながら、即戦力となることが条件になる。テンプスタッフでは、これまで「Pro」シリーズと呼ばれる教育プログラムを提供してきたが、新会社ではこれを拡張。従来のオープン系開発エンジニアをWeb系開発エンジニアに育成する「JavaPro」、IPネットワーク運用管理を学ぶ「NetPro」、Unixサーバの運用・監視コースの「ServerPro」に加え、3DCAD技術者育成の「3DCADPro」、Webプロデューサー養成プログラム「WebPro」を新設する。

 テンプスタッフ・テクノロジー取締役の藤崎貴司氏は、同社の育成プログラムの特徴は、「実践型研修システム」だと説明する。Proシリーズの各コースは、それぞれ専門企業が担当している。例えば、JavaProでは、テンプスタッフとインテルの合弁企業であるJava/Linuxエンジニア育成企業のエクストがプログラムを提供する。さらに、テンプスタッフ・テクノロジーは、人材派遣企業としては初めて日本アイ・ビー・エム(IBM)の「WebSphere Studioパートナー」になっており、「日本IBMの技術サポートを受けながら、Webアプリケーションエンジニアを育成・派遣していく」(藤崎氏)。

 なお、JavaProコースの研修期間は2カ月間。テンプスタッフ・テクノロジーに正社員として採用され、その期間は給与も支給される。研修費用は同社が負担する。採用条件は「オープン系開発3年以上」などとなっている。

 「長期プロジェクトの場合、企業と派遣社員の希望する就業期間が異なり、安定的な供給ができないケースもある。そのため、エンジニアの派遣を敬遠する企業も少なくなかったが、テンプスタッフ・テクノロジーではプロジェクトごとに特定派遣(テンプスタッフ・テクノロジーの正社員として派遣)するので、そういったリスクを回避できる」(藤崎氏)。

 JavaProは、開発経験者を対象にしたプログラムだけに採用条件に一応のハードルが設けられているが、その他のコースについては、「基本的に意欲を重視する」(テンプスタッフIT事業統括部の静谷弘隆氏)方針だ。また、研修期間もJavaProより短い(NetProが2週間、ServerProが1カ月)。

 「NetProやServerProなどのコースに関しては、未経験者も受け入れている。大学卒のフリーターなど、若い人が技術を身に付けようと応募してくることが多い。建設現場で仕事をしていた人が、エンジニアに転身した例もある」(静谷氏)。

 現在、テンプスタッフのIT専門事業部門には、4500人の登録があり、そのうち約120人をクライアント企業に派遣している。テンプスタッフ・テクノロジーでは、2003年3月までに登録スタッフを9500人まで拡大する計画。さらに、2003年4月には新卒100人前後雇用・教育し、ITエンジニアとして特定派遣する予定だという。「本来、ITは新たな雇用創出を促進するもの。それが、自分で正確なスキルを判断できていなかったり、雇用機会に恵まれなかったりしてチャンスを逃している人が多い。テンプスタッフ・テクノロジーでは、若年層の雇用創出にも貢献したい」(静谷氏)。

 ただ、誰にでも門戸が開かれているわけというわけでもない。テンプスタッフ・テクノロジーでは良い人材を派遣するために、「弊社社員による面接で厳選する」としており、意欲を重視するとはいいながらも、合格者は「10人中1〜2人」(静谷氏)となかなか狭き門のようだ。

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[中村琢磨, ITmedia]

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