News 2002年6月12日 08:54 PM 更新

MSの「Tablet PC」、東芝、NECなど5社から今秋発売

米Microsoftが「次世代PC」と位置付ける「Tablet PC」が、ソーテックなどから今秋に国内で発売される

 米Microsoftが「.NET時代のクライアントマシン」とアピールする「Tablet PC」の国内発売が今秋に決まった。Table PCは、OSにWindows XP Professionalのスーパーセットである「Windows XP Tablet PC Edition」を搭載。これは、Windows XP Professionalのフル機能に、手書き認識機能や音声認識機能、手書き用ユーティリティソフトなどを追加したものだ。なお、同OSはOEM提供のみで、店頭での一般販売は行われない。


「Windows Tablet PC Edition」について説明する米Microsoft Tablet PCグループのAndrew Dixon氏

 6月12日に行われたTablet PCに関する説明会では、ソーテック、東芝、NEC、日本ヒューレット・パッカード、ならびに富士通からTablet PCが発売されることが正式発表された。最終的な価格や出荷時期はまだ未定だが、米Microsoft Tablet PCグループのAndrew Dixon氏は、「Tablet PCはノートPCの最上位という位置付け。価格もその辺りになるだろう」との見通しを語った。また、マイクロソフト日本法人、Windows製品部の御代茂樹氏は、今回発表されたメーカーは5社だが、「正式リリースまでに、Tablet PCへの参入を表明するメーカーもあるだろう」と話している。

 昨年の「COMDEX Fall 2001」でもBill Gates会長が紹介していたが、Tablet PCには、「コンバーチブル型」ならびに「ピュアタブレット型」の2種類がある。コンバーチブル型は、一見、普通のノートPCのように見えるが、液晶ディスプレイ部分を180度回転させて折り畳むと、タブレット型にもできるというもの。ピュアタブレット型は、キーボード部分がないタイプ。説明会では、ソーテックとNECがTablet PCのワーキングモデルを参考出品。ソーテックがコンバーチブル型、NECがピュアタブレット型だった。


ソーテックのTablet PCワーキングモデル。液晶ディスプレイの横にあるボタンをリリースすると、ディスプレイを回転させることができる(ヒンジ部分が回転式になっている)


NECのワーキングモデルはキーボードのないピュアタブレット型。なお御代氏によれば、「実際に発売される際には、もっとクールでカッコ良くなる」とのこと

多彩な手書き認識機能をデモンストレーション

 説明会では、手書き入力機能に関するデモンストレーションも行われた。Tablet PC Editionには、既存のメモ帳のように使える手書き認識ソフト「MSジャーナルユーティリティ」が標準で搭載されている。入力した文字は、「デジタルインク」として取り込まれ、そのデータを編集したり形式を変換したりできる。また、デジタルインクの文字を対象に検索を実行することも可能だ。


MSジャーナルユーティリティにタブレットで文字を入力し、編集するデモ。任意のデジタルインクを範囲して、検索を行うこともできる


Tablet PC Editionは「TIP」(Tablet PC入力パネル)を装備。ここで入力した文字をアプリケーションに送ることが可能

 デモンストレーションは、大部分がTablet PC Editionの独自アプリケーションを使った手書き認識機能を紹介する内容だったが、製品正式リリース時には、「Microsoft Office」など既存のアプリケーションも手書き入力にネイティブ対応する予定だという。その一部として、手書き認識エクステンションを備えた「Microsoft PowerPoint」を使い、元データにペンでアンダーラインを引くといったデモも行われた。


プレゼンテーションをしながら、ペン入力で「ここがポイント」と入力するなど、アナログな使い方もありだ(左)。Tablet PC Editionは、もちろんジェスチャー認識エンジンも搭載。ジェスチャーでボールを穴に落とすというゲームもバンドルされる。「会議中にこのゲームをやっていてもメモを取っているようにしか見えない(笑)」(マイクロソフト)

 またマイクロソフトでは、Tablet PC用の新規アプリケーションの開発を促進するため、開発者向けに開発キットや評価用ハードウェアを提供するベータプログラムを展開する予定だ。「手書き入力というエクスペリエンスのメリットを活かした新しいアプリケーションの登場を期待したい」(御代氏)。

 Microsoftが「次世代PC」と入れ込むTablet PCだが、ペン入力デバイスはこれまで登場しては消えていく運命にあった。Dixon氏は「確かに、この10年間、ペン操作は主流にはならなかった」と認めながらも、「技術的な成熟によりペン入力が普及する条件が整った」と強調する。

 「CPUや液晶ディスプレイの低消費電力化、性能向上により、ペン入力スタイルでもあらゆる作業をこなせるようになった。Tablet PCは1秒あたり133回のサンプリングを行っているが、これは従来の非力なマシンではできなかったことだ」(Dixon氏)。

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[中村琢磨, ITmedia]

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