News:ニュース速報 2002年6月18日 04:53 PM 更新

テレポートに成功!? オーストラリアの科学者


 ついにテレポーテーションが現実に?オーストラリアの科学者がテレポート実験に成功したと、6月17日付けで英BBCが伝えた。

 報道によると、実験に成功したのはオーストラリア国立大学の科学者。研究所内のある場所から消したレーザー光線を、少し離れた場所に再出現させることに成功したという。これは少なくとも陽子や電子レベルであればテレポーテーションが可能なことを示しているという。

 ──とここまで読めば、これが量子暗号に欠かせない「量子テレポーテーション」(Quantum Teleportation)の実証例だということが分かる。量子テレポーテーションでは、Einsteinが「Spooky Interaction」と呼んだ「Quantum Entanglement」(量子の絡み合い)を利用して情報を送ることができる。1990年代に入って具体的に実現性が検討され、90年代後半になってから欧米で実証報告が相次いだ。

 量子テレポーテーションを活用した量子暗号は性質上、第三者が盗聴しようとすると、内容が無意味になる上、盗聴した事実が絶対にバレてしまう“究極の暗号”と言われている。日本では、三菱電機が2000年、北海道大学と共同で国内初の量子暗号通信システム実験に成功している。

 BBCサイトに掲載された解説では、数年以内に原子1個のテレポートには成功するかもしれないという。ただスタートレックのように人間をテレポートにするには、人体を構成する全原子1つひとつの情報を情報を取得し、各原子を別の場所で人体上の“元の場所”に復元しなければならない。こうした情報を取得・送信するために、現状では「宇宙の年齢(150億年)の1億倍」の時間が必要だという。

関連リンク
▼ BBC「Australian teleport breakthrough」
▼ 気になる科学探検隊「量子テレポーテーションと不落の量子暗号」
▼ 三菱電機の研究成果報告

[ITmedia]

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