News 2002年6月25日 12:27 PM 更新

ノートPCも2GHzへ――インテル、モバイルP4/2GHzを国内発表

インテルが「モバイルPentium 4-M」の2GHz版と1.9GHz版を発表。Pentium III/1GHzから約15カ月で2GHzを達成し“ムーアの法則”の健在ぶりを証明したが、メーカー間には高価なモバイルP4を敬遠する動きも見られる

 インテルは6月25日、「モバイル インテル Pentium 4 プロセッサ-M」の2GHz版と1.9GHz版を発表した。今年3月に発表した1.7GHzからわずか3カ月でのクロック向上となる。同時に、モバイルCeleronの1.5GHz/1.4GHz/1.33GHz版も発表した。

 同社は今回の新製品投入について「PC市場全体は成長が鈍化しているが、モバイル市場の成長ペースは速く、今後4年間でPC市場全体の約2倍のスピードで成長していくとみている。また、ホットスポットの増加などワイヤレスネットワークの成長が、ノートPCのモビリティへのニーズを高めており、時間と場所を選ばないコンピューティングの接続性が当たり前のように期待されてくる。新製品は、このようなモバイル市場の成長を後押しする製品」と語る。


2GHzに到達したモバイルPentium 4-M

 モバイルPentium 4-Mは、デスクトップ版と同じNetBurstマイクロアーキテクチャを採用したモバイル向けプロセッサ。512Kバイトの2次キャッシュを搭載する。FSBは400MHz。SSE2をサポートするほか、拡張版SpeedStep、DeeperSleep省電力モードなどの電源管理機能も装備。0.13μメートルプロセスで製造される。今回の新製品は、2GHz版/1.9GHz版ともに動作時の消費電力が2ワット以下となっているなどパフォーマンス向上とともに省電力化も施されている。

 1000個ロット時の単価は、モバイルPentium 4-M/2GHzが8万2780円、同1.9GHz版が5万2110円。既にPCメーカー向けに量産出荷を開始している。

 主な仕様は以下の通り。

製品名動作クロック(動作電圧)FSB/2次キャッシュ価格(1000個ロット時)
モバイルPentium 4-M/2GHz2GHz(最高性能モード:1.3ボルト)/1.2GHz(バッテリ・モード:1.2ボルト)400MHz/512MB8万2780円
モバイルPentium 4-M/1.9GHz1.9GHz(最高性能モード:1.3ボルト)/1.2GHz(バッテリ・モード:1.2ボルト)400MHz/512MB5万2110円
モバイルCeleron/1.5GHz1.5GHz(1.3ボルト)400MHz/256MB2万2090円
モバイルCeleron/1.4GHz1.4GHz(1.3ボルト)400MHz/256MB1万9360円
モバイルCeleron/1.33GHz1.33GHz(1.5ボルト)133MHz/256MB1万7410円

“ムーアの法則”は健在

 今回の新モバイルPentium 4-Mで、同社が「モバイルコンピューティングのマイルストーン」と位置づける“2GHz”というクロックを達成した。同社は昨年3月に、1GHz動作のモバイルPentium IIIを発表している。

 「1GHzから2GHzに到達するのに約15カ月と、ノートPC向けCPUでも“ムーアの法則”は健在。単にクロックを倍にしただけではなく、1GHzの時と同じ2ワット以下という低消費電力を維持しながらパフォーマンスを向上させている」(同社)。


 「1992年に20MHzのi486SLを市場に投入した時は、ノートPCでワークステーション並みの性能を実現したり、ゲームやAV処理ができることを想像した人は少なかった。それが、ノートPC向けCPUの性能向上で、使えるアプリケーションが増えている。今後ワイヤレス環境がますます充実してくる中、ノートPCのベネフィットはさらに高まり、その魅力はますます向上していく」(同社)。

メーカー各社は、高価なモバイルP4を敬遠?

 デスクトップに続き、ノートPC向けプロセッサもいよいよ2GHzの大台に到達した。しかしその価格はというと、2GHzが8万2780円(1000個ロット時)と決して安いものではない。今回の製品に限らず、同クロックでみるとデスクトップ向けに比べてノートPC向けプロセッサは割高となっている。このことが原因かどうかは分からないが、デスクトップ向けPentium 4をノートPCに搭載したモデルが出てくるなど、各社ノートPCのCPU採用に異変が起きている。

 東芝は先日、デスクトップ用Pentium 4/2.2GHzを搭載したノートPCを発売した。また、Hewlett-Packardソーテックも、2GHz超のデスクトップ用Pentium 4を搭載したノートPCを市場に投入している。

 Intelでは、発熱量の多いデスクトップ向けPentium 4は、ノートPCでは問題が生じると警告している。しかし、ハイスペックPCをローコストで提供できることから、可搬性よりもデスクトップ並みの性能を求めた“デスクトップリプレイスメント機”用プロセッサとして、デスクトップ向けPentium 4をノートPCに、と考えるメーカーは多い。

 この件について同社は、「価格差が唯一の原因とは考えていないが、『A4ノートはデスクトップの置き換え』と考えて、省電力化などモバイルPentium 4ならではの機能を必要としないユーザーがいることも承知している。ノートPCにデスクトップ向けCPUを採用するのは、このようなユーザーに対して、各PCベンダーが適切なソリューションを提供しているだけと認識している」とコメントしている。

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[西坂真人, ITmedia]

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