News 2002年6月26日 10:15 PM 更新

文化庁が「出会い系サイト」を研究中?

著作権制度の総本山である文化庁が出会い系サイトを研究している理由は……

 著作権制度の総本山である文化庁。その文化庁が、出会い系サイト研究中だという。もっとも、“出会い”といっても、男女を引き合わせるわけではなく、著作者と利用者を巡り合わせるためのものである。

 6月26日、「ブロードバンド&モバイルセミナー」で講演を行った文化庁著作権課の岡本薫課長は、「著作物の円滑な流通のために、著作物のマーケットプレイスが必要だ」と力説した。例えば音楽の例。「ネットなどで楽曲を使いたい場合、JASRAC(日本音楽著作権協会)が窓口になっているが、JASRACはあくまでもカルテル。どのアーティストの作品も同一料金で扱われるなど、市場原理が無視されている。コンテンツを作った人(著作者)がアピールできるシステムが必要だ」(同氏)。

 岡本氏が、出会い系サイトを引き合いに出したのは、「n対n型のモデルが非常に良く機能しているから」である。「インターネットやPCの登場で、1億総クリエーター、一億総ユーザーになっている。誰でも著作者になれる。こうした状況で、著作物が適正に、かつ活発に流通するためには、JASRACのような1対n型ではなく、n対n型のモデルが欠かせない。ただ、著作物のマーケットプレースには、アップロードされたものが、本物なのか偽物なのか判別するのが難しいという欠点もある」。

 さらに、岡本氏はn対n型の契約システムの例として、文部科学省が行っている「エル・ネット」(教育情報衛星通信ネットワーク)を挙げる。エル・ネットでは著作権管理の度合いによってA/B/Cという契約パターンがあり、Aだと2次利用はなし、Bならビデオ化が可能、Cならネット配信もできるというようになっている。契約の際には、著作者に「図を見せるだけ」(岡本氏)。「生命保険の契約と同じ。誰も契約書なんて読まないはず。説明用の図を見るだけで、サインする。著作物の利用に関しても、これくらい簡便な契約システムが望ましい」。

 なお、岡本氏によれば、出会い系という言葉を使ったら「ふざけるな!」と怒られたため、現在は「もっと真面目な名前になっている(笑)」という……。

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[中村琢磨, ITmedia]

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