News 2002年6月27日 10:51 PM 更新

あのGoogleも真似たがる有料検索サービス――Overtureがいよいよ日本進出

有料検索サービスのOvertureが日本市場での本格的な営業活動を開始すると発表した。都内で行われた発表会では、同社の有料検索サービスの紹介やシステムの優位性、日本市場での展開について語られた

 有料検索サービスの米Overture Servicesは6月27日、日本市場での本格的な営業活動を7月1日から開始し、2003年第1四半期から日本語でのサービスをスタートすると発表した。都内で行われた発表会では、同社の有料検索サービスの紹介やシステムの優位性、日本市場での展開について語られた。


Overture Services社長兼CEOのTed Meisel氏(左)と日本法人社長の鈴木茂人氏(右)

 Overtureが提供する検索サービス「スポンサード サーチ サービス」は、有料検索サービスもしくは広告型検索サービスと呼ばれるもの。通常の検索エンジンが「キーワードに対して最も関連性の高いWebサイト」を検索して掲載ランキングを決定するのに対して、Overtureは「広告主がキーワードに対して支払う金額」によって検索結果の掲載ランキングを決定する。

 リンクの表示順位はオークション形式で行われ、キーワードに支払う広告金額の多い順に、上位の掲載位置を落札することができる。つまり、お金でランキングを買う検索サービスなのだ。

 同社の有料検索サービスは、主要ポータルサイトと提携して膨大なトラフィックの誘導に成功したということもあって、数多くの企業から注目され、売上げを大きく伸ばしている。先日発表された同社の第1四半期(1〜3月期)の決算では、ほとんどのインターネット企業が業績の悪化に苦しむなか、売上高が1億4280万ドルと、前年同期の5200万ドルから大きく伸びた(別記事を参照)。

 Overture Services社長兼CEOのTed Meisel氏は、「多くのインターネット企業にとっては厳しい年だったが、(売上げを伸ばしている)我々にとっては最高の年だった」と振り返る。

 躍進の原動力はもちろん、スポンサード サーチ サービス。「検索サービスはインターネットに不可欠な機能。特に商品の購入にあたっては、検索が非常に重要となっている。それだけに、企業にとって検索結果の上位ランクキングのスペースは、非常に価値がある。しかし、これまでの検索技術は満足いくものではなかった。検索サービスが無償で行われるというビジネスモデルにも、問題だった。これからは、有料検索サービスを介することによって、精度の高い検索結果をユーザーに提供することができる」(Meisel氏)。

 スポンサード サーチ サービスのもう1つのメリットは、企業(広告主)が出す広告(キーワード)に対して、実際にどのようなバリューが発生するかがリアルタイムにテストできる点だ。

 「このようにリアルタイムで広告効果が分かるサービスが、最初は小額からスタートできるのも多くの企業に受けている理由。毎月5000ドルぐらいからスタートするケースが多いが、3〜6カ月経過すると、たいていの企業は5万〜10万ドルに広告費用を上げてくる。その社数も着実に伸びており、2002年の第1四半期までで全世界の約6万企業が広告主となっている」(Meisel氏)。


スポンサード サーチ サービスの仕組み

 検索エンジンで現在多くのユーザーに支持されているGoogleとは、どんな違いがあるのだろうか。

 「Googleは自らのディスティネーションサイトを持ち、ユーザーを直接google.comやgoogle.co.jpに引き込むのに対して、我々はgooやLycosといったパートナーを通じてサービスを提供する。そのGoogleも、ここ最近になってスポンサード サーチのようなことを始めている(関連記事)。しかし我々は、それを4年前から始めている。そして6万もの企業が我々のスポンサードサーチに注目してくれている」(Meisel氏)。

 同社では2000年にイギリスで、今年2月にはドイツでサービスを開始している。さらに今年第3四半期には、フランスでもサービスをスタートさせる予定だ。7月1日から日本法人による本格営業をスタートさせる日本市場は、米国/欧州市場以外の最初の進出先となる。

 日本法人社長に就任した鈴木茂人氏は、日本市場での展開について「日本のEC市場は2001〜2005年にかけて8倍に成長し、B2C市場が12.5兆円、B2B市場が99兆円規模になると見ている。日本では、中小企業でのインターネット取り組みが遅れているが、少ない予算から始められる当社の有料検索サービスは、中小企業向き。日本でも早期に立ち上がるだろう」と語る。

 広告主にとってはメリットが高いこのサービスも、エンドユーザーから見るとどうだろうか。落札価格の高い順、つまり広告料金を多く出した順に並んだ検索結果が、ユーザーにとって果たして本当に求めている情報なのかは疑問が残る。この件に対して同社は、検索する側のエンドユーザーにも広告型検索サービスはメリットがあると主張する。

 「スポンサード サーチ サービスは、アクセス数があってはじめてビジネスが成立している。アクセスが増えれば、広告主は掲載ランキングをどんどん上げていく。そうでなければ、その情報は消えていく。つまり、アクセスが高くて多くのユーザーが求めている情報だけが残っていくシステムになっているので、結果として上位ランキングの情報はユーザーが求めるものになっている」(鈴木社長)。

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[西坂真人, ITmedia]

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