News 2002年8月27日 11:59 PM 更新

っぽいかもしれない
ROBO-ONEでホビイストの底力を感じた(決勝編)(1/4)

高レベルな戦いが繰り広げられた決勝戦。厳しい予選を勝ち抜いた“できの良い”ロボットたちが放つ技の数々は、見ている誰をも夢中にさせてしまうから不思議。バトル途中の調整で水を差されることもなかった今大会は、最後まで興奮が続いた

 8月10〜11日に川崎産業振興会館で開催された2足歩行ロボットの格闘競技大会「ROBO-ONE」第2回大会の2日目。いよいよ決勝トーナメントだ。予選リーグを勝ち抜いたロボットは、すべて“歩いて屈伸して”ができるものばかり。高レベルな戦いが繰り広げられた。

 当日の朝、トーナメントの組み合わせが発表になったが、これがちょっと不思議なものだったのだ。1回戦は、予選通過1位対16位、2位対15位、3位対14位……という組み合わせになっている。ここまではありがち。ところが、この組み合わせがそのままトーナメントの並び順になっているので、2回戦では、「1位対16位」の勝者と「2位対15位」の勝者がぶつかってしまうのだ。こんなすごそうな組み合わせは決勝までぶつからないようにするのが普通だろう。こういうことをやってしまうっていうのは、いかにも手作りのイベントらしいエピソードである*1

 各試合は、まず、それぞれのロボットのデモンストレーション(1分)から開始される。予選と同じで、「3歩の歩行と屈伸」という規定演技を含めて、どれだけ自分の長所をアピールできるかだ。ただ、今度は時間が1分しかないので、効率の良い演技が必要になる。

 そのあと、いよいよ試合だ。1ランド1分の5ラウンド制。どちらかがダウンして起き上がれなければ、そのラウンドは相手のもの。ただし、ダウンしても10カウント以内に起き上がれば大丈夫。また、この大会ではダウン回数に制限はない。いくらダウンしても起き上がればいいのだ。また、両者倒れてしまったときにはダブルノックアウトとなり(どちらが先に倒れたかにはかかわらず)仕切り直し。

 こうやって5ラウンドを戦って、勝ったラウンド数の多い方が「試合」の勝者。でも、実際の決着は5人の審査員による採点で決まる。採点基準は、試合が60%、「ロボットの技」「自律性」「戦意」「マナー」がそれぞれ10%ずつ。試合の勝敗が僅差だった場合には、審査結果で逆転することもある。このように審査員の権限を大きくしているのがROBO-ONEの特徴なのだ。

 試合中の判定はレフリーに任せられる。今回は富士通オートメーションの小林雅司さんが担当したのだけど、彼のレフリングは上手かった。まだルールには不備があるんだけど、そこをうまくフォローしていた。判定もきびきびしていてカッコイイ*2

1回戦

【第1試合】R-BlueIV(吉村浩一)対Limbgrand(松本大輔)

 最初の試合からポールポジションの登場だ。対するLimbgrandは、よく動くロボット。頭部のデザインもいい。


 しかし、R-BlueIVにはかなわなかった。デモではちゃんと動いていたのに、試合では勝手に転んでしまうなんてこともあって、3対0でR-BlueIV。審査も5対0。


動画はこちら(296Kバイト)

【第2試合】Adamant 2nd(滝沢一博)対LEGO Trooper(佐伯和人)

 Mindstorms製のLEGO Trooper登場。かわいいから会場のウケもいい。一方、Adamant 2ndは安定性の高い大きなロボットだ。かわいそうなんだけど、LEGO Trooperが相手ではヒール役になってしまう。


 有効な攻撃技を持たないLEGO Trooperは、巨大なAdamant 2ndに対してはなすすべもない。Adamant 2ndは、抱え込んでから投げ飛ばすような豪快な技を見せる。あとで滝沢さんにきいた話では、「そっとやったんですよ」だそうなんだけど。ラウンド3対0、審査5対0でAdamant 2ndの勝ち。

【第3試合】A-Do(すがわらゆうすけ)対A-Do U-Knight(しもささよういち)

 これは、トーナメントの神様がいたずらをしたとしか思えない組み合わせ。名前で見当がつくかもしれないけど、この2つは同型機なのだ。お二人は先輩後輩という間柄で、それぞれが同じマシン(独自開発)をベースに開発を行ってきたのだ。ソフト等は全く別ものなのだけど、見た目はほとんど一緒。というわけで、この勝負は“技の対決”となりそうだ。

 ところが、第1、第2ラウンドともA-Do U-Knightが自分で倒れてしまう。デモでは平気だったのに。しかし、あとがなくなった第3ラウンドは白熱。ダブルノックアウトが2回も見られるという激戦の末、ついにA-Doがダウンを奪った。結果は、ラウンド3対0、審査5対0でA-Doの勝利。


動画はこちら(400Kバイト)

【第4試合】Metallic Fighter(森永英一郎)対Brownie01(山口雅昭)

 派手に転倒し、派手に起き上がるMetallic Fighterに対するは、背中のマントがカッコイイBrownie01だ。キックもできるし、腰の座ったパンチもある。


 試合は、両ロボットがまず礼を行うという、なかなか美しい風景から始まった。ロボットのそのもの動きはどちらもいいのだけど、平気で起き上がれるというMetallic Fighterは強い。それだけ大胆な攻撃ができるのだ。3対0の5対0で、Metallic Fighterの勝利。


動画はこちら(724Kバイト)

 ここまでで、午前の部終了。お昼休みに入った。それにしても、予選1位から4位までが既に登場してしまっているわけだ。午後からのんびり来た人はいいところを見損なっちゃったね。


**1前日の夜中にふらふらな状態でつくったんだって。ほんとのことを言えば、順位による組み合わせ表だけあらかじめ作っておいて、あとは実際の参加者名だけ書けばいいようにしておけばよかったんだろうけど、なかなかそこまで気が回らないか。
**2でも、レフェリーは審査員には含まれないから採点にはかかわらない。相撲の行司みたいだ。

[こばやしゆたか, ITmedia]

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