News | 2002年9月11日 03:58 AM 更新 |
「Itanium 2」(コードネーム「McKinley」)の発表により、いよいよIA-64のマーケティング強化を進めているIntelは、その成果を誇示するように信頼性、可用性、そして将来性に優れた製品がサーバベンダー各社から登場したことを、「Intel Developer Forum Fall 2002」基調講演の中で紹介した。
中でも注目を集めたのは、パーティショニング機能を持つ「Unisys ES7000」を用いた、プロセッサのアップグレードデモだ。ES7000は4プロセッサ構成のプロセッサユニットを最大4つ搭載し、ユニットごとに動的に分割。それぞれを単体のサーバとして機能させるパーティショニング機能を備えている。デモンストレーションでは4つのプロセッサユニットのうち1つを来年登場予定のItanium 2後継プロセッサ「Madison」へと入れ替え、サーバを停止させることなく処理性能を向上させてみせた。
Itanium 2を搭載する32プロセッサ構成のNEC製サーバ「TX7シリーズ」が、ノンクラスタリングのWindowsシステムとして、従来の記録を大きく超えるTPC-Cを記録したことも紹介されてた。記録は30万8620tpmC。「Microsoft SQL Server 2000 Enterprise Edition (64-bit)」ベータ版および「Windows .NET Server 2003 Datacenter Edition」、256Gバイトメモリという環境下で達成。tpmCあたりの価格は14.96ドルとなる(編集部注:TPC-Cは業界団体、TPCが策定したコンピュータのトランザクション処理性能に関するベンチマーク。tpmCは同テストにおいて1分間に処理可能なトランザクション処理数を表す)。
また、基調講演では簡単にしか触れられなかったが、SGIのハイエンドサーバ「Originシリーズ」に採用されているNUMAflexを採用した、Itanium 2ベースの64プロセッサシステムもステージ上に並べられた。
会場に来ていたSGI関係者によると、NUMAflexはNUMAアーキテクチャをベースとしているが、独自の高速なインターコネクト技術を採用することで、64プロセッサ構成までスケーラブルにパフォーマンスアップが可能なシステムという。通常、すべてのメモリに対して透過的にアクセス可能なシングルシステムイメージのコンピュータでは、8プロセッサを超えるとパフォーマンスがスケーラブルに伸びなくなるといわれているが、NUMAflexではそれを超える64プロセッサ構成までのスケーラビリティを実現できる。
通常、NUMAアーキテクチャを採用するシステムでは、プロセッサ直下に置かれるローカルメモリとプロセッサから遠い位置に接続されたメモリとの速度差が大きく、ローカル外に置かれたデータにアクセスする際にレイテンシや帯域幅の面で大きな制限を受ける。このため、アプリケーションは常にローカルメモリとそれ以外を意識しなければパフォーマンスアップを図ることができず、プロセッサ数が増えるほどにパフォーマンスチューニングが行いにくいなどの問題がある。
しかし、NUMAflexではブリックと呼ばれるモジュールを、それぞれ高速インターコネクト技術で結びつけることによりパフォーマンスの低下を抑制。各ブリックはプロセッサ、I/O、グラフィック、メモリコントローラなどの種類に分けられ、それぞれを柔軟に組み合わせて構成できるなど、システムの柔軟性が高い。
デモンストレーションに使われたNUMAflex採用のシステムはItanium 2が搭載されており、専用にチューニングされたLinuxとともに動作。パフォーマンスチューニングの初期段階ながら、メモリ帯域幅の業界標準ベンチマーク「STREAM Triad」において毎秒120Gバイトの速度を達成した。
このデモンストレーションで使われたシステムは来年の早い段階に製品化が予定されており、IBMの「eServer p690」やSun Microsystemsの「Sun Fire 15K」システムと比べて単純なパフォーマンス比較で上回るほか、メモリバンド幅でCRAY C90やCRAY SV1、富士通VPP5000 CMOSなどのベクトル演算型スーパーコンピュータを上回るパフォーマンスを記録するという。
[本田雅一, ITmedia]
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