News 2002年9月25日 05:10 PM 更新

三洋、CD-Rの高密度記録技術“HD-BURN”発表

三洋電機は既存のCD-Rメディアに2倍の容量でデータを記録できる新技術「HD-BURN」を開発した

 三洋電機は既存のCD-Rメディアに2倍の容量でデータが記録できる新技術「HD-BURN」を開発。25日にその開発発表会を行った。

 同技術はこれまでのCD-Rの記録方式に対し、最小ピット長を0.83μmから0.62μmに縮小(700Mバイトメディアの場合)することで34.3%、エラー訂正方式を変更することで48.9%、それぞれ記録密度を向上させた。この結果、メディアあたりの記録容量が倍になる計算。700Mバイトメディアを用いれば、1.4Gバイトのデータを記録することが可能になるわけだ。

 同技術は既存のCD-Rメディアを利用できることに加え、ファームウェアの改良だけで既存のドライブで読み出すことが可能なことも、特徴の1つ。既存のCD-Rメディアを用いるとは言え、ピット長やエラー訂正方式が異なるため、もちろんそのままでは既存のCDドライブやDVDドライブから読み出すことはできない。だが、CDドライブの光学系を用いた読出しを前提にしていることから、民生機も含めDVDドライブではファームウェアを改良するだけで、HD-BURNで記録したCD-Rメディアの読出しが可能になる。また、一部のCDドライブでも読み出しが「技術的に可能」(同社技術者の話)だという。

 実際、発表会では当日撮影した発表会の風景をHD-BURNを使ってDVDビデオ形式でCD-Rメディアに記録。PC上のソフトウェアDVDプレーヤーで再生したり、ファームウェアのみ変更された同社製DVDプレーヤで再生したりするデモンストレーションが行われた。

 HD-BURNでの書き込みは、CLV方式でメディア全域36倍速、読み出しは80倍速となる。記録容量が従来のCD-Rの倍となるため、従来のCD-Rへの読み書きと比較すると、メカニズム上は書き込み時が18倍速、読み出し時は40倍速相当の負担になる。技術的にみてこれはなんら問題がなさそうだ。

 また、将来的にはファームウェアアップグレードでCD-RWメディアにも対応する方針。この場合、CD-RWメディアでの書き込み速度は24倍速となる予定だ。

 同社によれば、HD-BURNを最初に採用する製品は「CRD-BPDV2」になる予定。このドライブはDVD+RW/+R/CD-R/RWメディアの書き込みをサポートするスーパーコンボドライブで、同社初のレコーダブルDVDドライブとなる。サンプル出荷が9月末、量産出荷は2003年第一四半期を予定している。

 このCRD-BPDV2でもう1つ注目されるのは、DVD+RW/+Rメディアの書き込み速度だ。共に4倍速記録となっており、現在DVDアライアンスで策定中の高速記録に対応したドライブとなる。DVDアライアンスでは4倍速記録はDVD+Rを先行し、DVD+RWの対応は遅れるとしていたが、年明けにはDVD+RWの4倍速記録をサポートするドライブが登場することになりそうだ。

 同社ではHD-BURN普及に向け、他社への採用やHD-BURN読み出しへの対応を働きかける。また、Burn-Proof同様、認定制度を設けることで互換性の確保を図る計画。なお、同社によれば、同顧客を中心としたドライブメーカー数社が既にHD-BURN採用を検討しているという。

(注、記事中、一部不正確な表現があり修正しました。9月25日22:55pm)

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[廣田克哉, ITmedia]

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