News 2002年10月8日 11:58 AM 更新

DVDフォーラム、Mt.Rainier相当の規格策定へ

DVDフォーラムで、Mt.Rainierと同じような機能を実現する「DRT-DM」と呼ばれる規格が進行中だ。同フォーラムでは、MicrosoftにOSレベルでのサポートを働きかけているという

 DVDフォーラムが策定中の「DRT-DM(Distributed Read Time Defect Management)」は、DVD-RWドライブにおいてハードウェアによる「ディフェクトマネジメント(メディアの欠陥管理)」を提供することを目的とした規格だ。機能的には、すでに規格策定が終了し、一部のCD-RWドライブで実装が始まっているMt.Rainier(CD-MRWやDVD+MRWなど)とほぼ同じものである。言い換えると、Mt.Rainierの“DVDフォーラムバージョン”である。

5段階のディフェクトマネジメントを実装するDRT-DM

 DRT-DMとMt.Rainierで大きく異なっているのは、Mt.Rainierが純粋にコンピュータのデータ記録をターゲットにして規格化されているのに対し、DRT-DMは、データ記録だけでなく、DVD-Video Recording Formatを使用したリアルタイムの映像記録をもターゲットにしている点である。

 このため、DRT-DMではファイルシステムに「UDF2.0」を採用。PC用のデータを記録する場合など、信頼性が求められるケースで使用される3つのレベルのディフェクトマネジメントと、AV記録などのリアルタイム記録用に準備された2つのレベルのディフェクトマネジメントの計5段階のディフェクトマネジメントが実装されている。

 このうち、前者の信頼性が高いデータ記録用に準備されたディフェクトマネジメントには、「Light Weight Defect」、「Heavy Weight Defect」、「Media Hard Defect」の3つのレベルがある。

 Light Weight Defectは、エラーコレクションによって修復できるレベルだが、将来的には、重大なエラーが引き起こされる可能性がある欠陥のこと。Heavy Weight Defectは、リトライやエラーコレクションによって読み出すことができるレベルだが、将来的には、回復できないエラーが起きる可能性がある欠陥。Media Hardは、サーボエラーが引き起こされてしまうようなもので、リトライによって修復できるが、将来的には、シークエラーを引き起こす可能性がある欠陥のことだ。

 また、AV用に準備された2つのレベルのディフェクトマネジメントは、いずれも修復は行われないタイプのものである。これは、AV記録では、リアルタイムでデータの記録を行えることの方が重要で、下手にディフェクトを行ってしまうとパフォーマンスの低下により、リアルタイムでデータの記録が行えなくなってしまうなどの問題が出てくるからだ。事実、民生用のDVD-RAM/RレコーダにおいてもDVD-RAMメディアに対して映像を録画するときは、ベリファイレスで記録されている。

マイクロソフトにサポートを依頼

 DRT-DMは、上記の点からもわかるようにAV用の管理モードを搭載している点を除けば、基本的には“DVD-RWメディア用のMt.Rainier”である。このため、DRT-DM策定の狙いもMt.Rainierとほぼ同じところにあることは間違いない。言うまでもなく、それはDVD-RWにPC用のデータストレージとして必要なディフェクトマネジメント機能を規格化することだ。この機能は、DVD+RW規格にあって、現在のDVD-RW規格に欠けているものだ。

 DVD-RWには、もともと「restricted over write」というロスレスリンキングを使用した便利な記録方式が準備されている。この記録方式は、現在のところ、主にPCでは、パケットライトソフトで使用され、DVD-R/RWレコーダで映像を記録する場合にも使用されている。DVD-RWでは、この書き込み方式とDRT-DMによって、これまでパケットライトソフト(ランダムアクスライトソフト)によってソフトウェア的に実現されてきたFDDライクなフォルダやファイル単位の書き込み機能をより汎用的に使用できるようにするというわけである。もちろん、これを実現するためには、対応したOSが必要になる(この点は、Mt.Rainierと同じである)。

 DRT-DMは、まだ策定中で、現在は、細部の詰めやコマンドセットの策定作業が行われている段階。最終的には、Mt.Rainer同様に統一されたコマンドセットが規定される予定で、ファームウェアのバージョンアップで対応可能という話もある。また、DVDフォーラムでは、この規格をOSレベルでサポートするよう、Microsoftと交渉を行っているところだという。

 複数の規格が存在し混迷を極めている記録型DVDだが、DRT-DMの規格策定により、新たな規格がまた1つ誕生することになりそうだ。



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[北川達也, ITmedia]

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