News 2002年10月9日 10:01 PM 更新

FeliCa――楽しみなモバイル端末への展開

「FeliCa Solution Fair」の基調講演では、モバイル端末への展開が、今後の有望市場として取り上げられた

 FeliCaは、複数のアプリケーションを搭載できることから、アクセスコントロールだけでなく、インターネットや携帯電話を使用した電子決済システムなど、さまざまな分野への応用が可能だ。「FeliCa Solution Fair」で「FeliCaの将来像」と題する基調講演を行ったソニー、 FeliCa事業部事業推進部部長の渡辺 圭一氏は、重要なマーケットとしてモバイル市場を挙げていた。


基調講演を行ったソニー、渡辺 圭一氏(ネットワークアプリケーション&コンテンツサービスセクター ブロードバンドネットワークセンター FeliCa事業部事業推進部部長)

 同氏によると、モバイル端末(携帯電話など)用のFeliCaは「3つの機能が提供される」。それはモバイル端末がそのままICカードとして機能する「カード互換機能」、外部の別のICカードに対してリーダ/ライタとして機能する「リーダ/ライタ機能」、有線の専用インタフェース経由で端末側からFeliCaのメモリに直接アクセスする「直接アクセス機能」だという。

 これは、現在開発中のLSIで提供されるもので、モバイル端末は、FeliCaを使用する上で必要になるすべての機能が提供されることになる。つまり、モバイル端末を使用して会社や学校の出社/出席などのアクセスコントロールをしたり、電子決済/電子マネーなどのさまざまな機能が実現できるというわけである。

 特に最近の携帯電話では、データ通信機能が搭載されている。これによって、決済に必要となる認証機能をサーバ側に移管することでセキュリティも高くなり、さまざまな用途に応用できるようになる。FeliCa内蔵のモバイル端末は「電子財布」になるというわけだ。

 また、同社は、9月にRoyal Philips ElectronicsとFeliCaを使用した近距離無線通信技術「NFC(Near Filed Communication」の共同開発を発表している。これは、13.56MHzの電波を用い、20センチ以内の距離であれば、NFC対応端末同士でデータ通信を行うことができるというものだ。データ転送スピードは212Kbpsとちょっと遅めだが、少量のデータを転送するという使い方には十分だろう。

 FeliCaは、高度なセキュリティと柔軟なアプリケーション機能を搭載し、より便利な生活環境を構築できる可能性を秘めている。それだけに、モバイル用途での展開が楽しみだ。

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[北川達也, ITmedia]

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