News 2002年11月11日 08:57 PM 更新

中大型機、WSは大幅前年割れ――2002年上半期出荷実績

JEITAが発表した2002年上半期のメインフレームやWSの出荷実績は、大幅前年割れとなった。低価格のUNIXサーバが急増したのに対し、高価格WSや100万円を超えるミッドレンジ製品の落ち込みが著しく、景気低迷の影響をもろに受けた格好だ

 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は11月11日、2002年度上半期のメインフレームコンピュータ、ミッドレンジコンピュータ、ワークステーションの出荷実績を発表した。メインフレームは出荷台数が656台(前年同期比88%)で、金額ベースでは1907億円(同80%)。ミッドレンジは8万6591台(同94%)/3010億円(同94%)。ワークステーションは3万6611台(同77%)/373億円(同73%)だった。

 すべての分野で台数、金額とも前年同期を下回ったことについて、JEITAでは「企業の設備投資の抑制が大きく影響した」と分析している。実際、メインフレームの産業別金額構成比を見ると、金融関連が前年の21%から15%と大きくシェアを落としたほか、民間分野は軒並みマイナスあるいは横ばい。地方公務分野の大幅な伸びがかろうじて下支えした格好だ。

 メインフレームの金額別構成では、2億5千万円以上の大型クラスが184台(前年同期比80%)/1907億円(同80%)。4千万円以上の中型クラスで379台(同97%)/517億円(同80%)、4千万円未満の小型クラスで93台(同76%)/31億円(同53%)と、かつてはほぼ半分の台数を占めていた小型クラスの落ち込みが著しい。その理由についてJEITAでは「4千万円以下の小規模システムではオープン化が浸透し、すでにメインフレームの分野ではなくなってきていること」を指摘している。

 ワークステーションでは、100万円以上300万円未満が9118台(前年同期比105%)/186億円(同96%)とほぼ前年並みだったが、300万円以上が1272台(同33%)/82億円(同50%)と大きく足を引っ張った。

 ミッドレンジコンピュータでは、さらに価格低下の波が著しい。100万円以下のUNIX系サーバでは9610台(前年同期比275%)/54億円(同150%)と大きな伸びを記録する一方で、100万円以上300万円未満は4008台(同41%)/149億円(同55%)と低調。Windows NT系を中心とするNOSサーバでもその傾向は同様で、100万円以下では5万4244台(同109%)/567億円(同115%)、100万円以上300万円未満は2916台(同41%)/90億円(同49%)となっている。

(なお、JEITAの統計では、NOSサーバでも「PCサーバ」として、ミッドレンジコンピュータには含まれていない製品がある。それも含めると、総計12万1227台(前年同期比97%)。ただし、JEITA統計に参加していないCOMPAQやDELL、あるいはユーザーサイドで構築されたLinuxシステムなどはこの数値にも含まれていない)

 JEITAは2002年度通期の見通しとして、メインフレームは前年対比80%(金額ベース88%)、UNIX系ミッドレンジコンピュータが同92%(金額ベース91%)、NOS系ミッドレンジコンピュータが同100%(金額ベース94%)と予測している。景気の先行きが不透明なだけに決して楽観はできないが、データセンタ/ASP/ISPなどのネットビジネス、企業や市町村合併に伴うシステム統合などの新規需要に期待をかけているという。

[山口哲, ITmedia]

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