News 2002年11月18日 07:13 PM 更新

9.9ミリの薄さに辞書14冊とメモ機能――シャープ、業界最薄の電子辞書

最薄部が9.9ミリという電子辞書「PW-S7000」をシャープが発表した。辞書コンテンツの強化やキーボードの改良など、従来機能をブラッシュアップさせながら、メモ機能の搭載などで苦手分野も克服している

 シャープは11月18日、9.9ミリ(最薄部)という薄型ボディの電子辞書「PW-S7000」を発表した。「辞書を丸ごと収録したいわゆる“丸ごと辞書”では、業界で最も薄いサイズ」(同社)という。11月28日から発売し、価格は4万5000円。


業界最薄の電子辞書「PW-S7000」

 折りたたみ式ボディのPW-S7000は、折りたたみ時のサイズが120(幅)×90(奥行き)×9.9(最薄部)-13(最厚部)ミリ、重さは約160グラム(電池を含む)と軽量コンパクト。業界最薄の厚さだけでなく、大きさもパスポートとほぼ同じで、胸ポケットにも収まるサイズだ。この薄さでの強度を確保するために、ボディの材質をアルミニウムとした。

 この“超薄”電子辞書では、キーボードも新開発のものを採用している。

 薄さだけを求めるのなら、キーボードはシート状のノンクリックタイプを使えばいいが、操作性が失われてしまうだけでなく、外観もチープな印象になってしまう。同社通信システム事業部パーソナルツール推進部長の大喜多義憲氏は、「薄型化にあたってキー構成をどうするかというのが課題となった。単に薄くするだけではなく、“操作性”、“外観品位”、“クリック感”を求めて、新タッチキー方式を新たに開発した」と語る。


新タッチキーの外観

 JIS準拠タイプライター配列を採用した新タッチキーでは、操作性を向上させるため、キートップ周辺に切り込みを入れることで操作時に他のキーが動かないようにしている。また、専用の作動シートを設けてクリック感を向上させたほか、キートップにデコレーションフィルムを貼り付けて高級感を演出している。


新タッチ方式のキー構造

 この薄型軽量ボディに、「広辞苑 (第5版)」、「逆引き広辞苑(第5版対応)」、「オックスフォード現代英英辞典 (第6版)」、「ジーニアス英和辞典 (第3版)」、「ジーニアス和英辞典」「パーソナルカタカナ語辞典」、「学研監修 漢字辞典」、「英語類語使い分け辞典」、「英文ビジネスレター事典」、分野別小辞典5冊(人名、地名、作品名、季語、慣用句)と、計14冊相当の辞書が“丸ごと”入っている。書籍で購入すれば3万円以上はするだけに、電子辞書の操作性と携帯性、省スペース性を考慮すると、実売が3万円台前半になると見込まれるPW-S7000のお買い得感は高い。


14冊の辞書が、この1台に収録

 PDAやPCなどでも辞書ソフトはあるが、専用機である電子辞書は、電源ONですぐに使える点やROM化した辞書による高速動作、優れた携帯性など、使い勝手の面で根強い人気がある。

 大喜多氏は電子辞書の市場について「機器メーカーが辞書コンテンツを用意する従来型のスタンダードタイプでは前年を下回って推移しているが、紙の辞書をそのまま収録した“丸ごと辞書”タイプは、台数・金額ベースともに前年を大きく上回り、今後も年率20%以上の高成長が見込める期待の分野」と語る。

 ただし電子辞書は、文章を作成したり、辞書を後から追加するといったことは苦手だった。用意されたコンテンツを利用するという“受け身型”の設計なうえに、サイズ/コスト/省電力の面からも読み書き可能な大容量メモリは搭載しづらいからだ。

 PW-S7000は、従来電子手帳が苦手だったこの分野にもチャレンジしている。よく使われるシーン別のテンプレートを5種類(時刻表/備忘録/出費メモ/情報メモ/会議メモ)が用意された「メモ機能」を業界で初めて搭載。自由帳感覚で入力できる「フリーメモ」や辞書画面によく使う例文などが添付できる「添付メモ」を搭載し、文章作成や辞書内容の追加などをサポートした。メモの検索も、日付やタイトルに含まれるキーワードから簡単に行える。

 ノートPCや高機能PDAをカバンに忍ばせている“モバイラー”でも、携帯型の電子辞書を愛用している人は多い。薄型・軽量化やキーボードの改良、辞書コンテンツの強化など、従来の機能をブラッシュアップさせながら、メモ機能などで従来の苦手分野も克服していこうとする同社の電子辞書は、まだまだ進化しそうだ。

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[西坂真人, ITmedia]

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