News 2002年11月26日 03:12 PM 更新

CD-Rの「音」を考える
48倍速メディアの音は、なぜ悪いのか(2/2)


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 ここで問題になるのが、内周と外周の記録スピードの差だ。16倍速記録までなら、ドライブにはメディア全域に一定の速度で記録するCLV方式が採用されていたので、メディアの感度を全域で一定に保つことができた。しかし、現在のように内周と外周で記録スピードが異なる記録方式が採用されると、メディア全体が一定の感度だと、外周部で高速な記録をサポートできなくなってしまうのである。

 つまり、メディアは、高速記録に対応するため、内周と外周で感度を変化させる必要が出てくるわけだ。特に48倍速記録などの高速記録では、内周と外周で2.5倍もの記録速度の違いがあるのでなおさらだ。「40倍速以上の高速記録対応のCD-Rメディアでは、メディアの内周と外周で(色素の)膜厚を変える(外周を“薄く”する)ことで感度を変化させ、対応している」(前出の専門家)。

旧型のドライブでは、外周部にいくほどエラーが増加する

 40倍速以上の記録に対応したCD-Rメディアを旧型のドライブで使用すると記録品質が低下するという現象は、メディアの内周と外周で“感度”が異なるということから生じてくる。

 旧型のCD-R/RWドライブは、CLV方式を使用して記録を行っているものが多いが、こういったドライブではメディアの感度が一定であることを前提として設計されている。つまり、メディアの感度が途中で変化することを考慮していないドライブが少なくないのだ。すると、こういったドライブでは、外周部に行くほど感度が合わなくなり、エラーレートが増大してしまう。

 今回、実際に「UJDA310」という旧型の製品(CD-Rへの書き込み4倍速、CD-RWへ書き換え4倍速のポータブルCD-R/RWドライブだ)で、何社かの48倍速対応のメディアを記録するというテストを行ってみたが、確かに記録品質が悪かった。しかも、メディアの感度が変わっていくことを指し示すように、外周部に行くほど右肩上がりにきっちりとエラーレートが増大していくという傾向が見られた。メーカーによっては、外周付近では、E32(訂正不能エラー)も発生し、外周部はまともに記録できているとはいえないというものさえ見られたほどである。

 テスト結果の一例を次に示そう(なお、エラーレートの低さ、イコール音質の向上ではない。ただ、エラーレートの低いメディアは全般に音質がよいメディアであるケースが多いので、ここでは1つの指標としてエラーレートをとった)。


国内某大手メーカー製の48倍速対応メディアに旧型のポータブルCD-R/RWドライブ「UJDA310」で4倍速記録を行い、Expert Magnetics社の「CDC-512」にてエラーチェックを行った結果。右肩上がりにエラーレートが増大している


国内某メーカー製48倍速対応メディアにUJDA310で4倍速記録を行い、Expert Magnetics社のCDC-512にてエラーチェックを行った結果。BLERのアベレージが94.80。MAX691というひどいもの

 ただ明記しておく必要があるのは、CLV方式を採用している旧型のドライブすべてで、記録品質が低下するわけではないことだ。テスト結果でも、例えばプレクスターの8倍速対応の製品(「PX-W820T」や「PX-W8220T」)などでは、上記のメディアを使用しても「外周部でエラーが増加するかな」といった程度で記録できており、全体の品質もそれほど悪いといったものではなかった。CLV方式を採用している旧型の製品でも、それなりの品質で記録できているドライブも確かに存在はしている。

 また、最近のCD-R/RWドライブのように内周と外周でスピードを変更しながら記録できるように設計されている製品は、メディアの感度が途中で変化してもきちんとそれに対応できるように設計されているので、こういった問題は起こらない(上記のようにエラーレートが右肩上がりにはならない、ということだ。最近のドライブであればいい音で録音できる、という意味ではない。これについては次回以降で触れる)。

 現在のCD-Rメディアは、これまでの説明からも分かるように低速から高速までをサポートすることが難しくなってきている。このため、こういった状況に対応するメディアメーカーも現れ、わざわざ、1倍速−16倍速までの記録に対応する低速記録用メディアを販売するところさえ出てきた。また、特に低速メディアを販売していなくても、1倍速記録をサポートしたメディアと、1倍速を非サポートにする代わりに40倍速以上の記録をサポートするメディアの2種類を販売するメーカーもある。

 旧型のドライブを使用しているユーザーは、40倍速以上の高速記録用のメディアを使用するのではなく、低速で記録できるメディアを使用するなどの工夫をする必要があるだろう。例えば、音楽専用のCD-Rメディアは、使用対象の民生用音楽CDレコーダが低速記録であることから、現在でもデータ用のCD-Rと違い、低速で記録できることを保証した製品を発売している。

 実際に、今回テストで使用したUJDA310で音楽専用のCD-Rメディアや1倍速−16倍速対応の低速用メディアに記録してみたが、40倍速以上の記録スピードに対応するメディアのようなエラーレートにはならなかった。(低速に対応したドライブで)音質を追求して低速で記録を行いたい場合は、そういったメディアを使用すると良いだろう。


1倍速−16倍速対応の低速用メディアにUJDA310で記録を行ったものを「CDC-512」で測定したグラフ。外周部でエラーが増大するといったことはない


1倍速−16倍速対応の低速用メディアにUJDA310で記録を行ったものをCDC-512で測定した結果。低速用メディアということもあり、決して良いとは言えないがそこそこで記録できている

[北川達也, ITmedia]

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