News 2002年11月29日 08:56 PM 更新

“デュアルチャネルDDRメモリ”がお得になる理由(2/2)

これからの高性能チップセットのトレンドと目されているデュアルチャネルDDRメモリ。性能的なメリットはよく話題となるものの、サーバクラスの超大容量メモリを搭載する場合、コスト的なメリットも大きいことはあまり知られていない

前のページ

 その条件とは、DIMM4本で1GB以上の大容量メモリを搭載する場合だ。理屈は単純。DDR SDRAM用のメモリスロットが4本装備されているためである。

 マザーボードレイアウトを一目見れば分かるため、その特徴として紹介されることはまずないが、デュアルチャネルメモリに対応したチップセットは、そのほとんどがDIMMスロットを4本備えている(NVIDIAのnForce/同2シリーズは特殊で、3本となっている)。

 E7205とi850をはじめ、搭載製品が2003年に登場する予定のSilicon Integrated Systems社製「SiS655」とVIA Technologies「Apollo P4X600」(双方とも予定のデュアルDDRメモリ対応チップセット)も、メモリスロットは4本だ。

 この4本スロットの仕様は、便宜的な理由と技術的なメリットの両方が相まって実現されている。

 便宜的な理由としては、デュアルチャネル動作では基本的に2枚組でメモリを装着することから、2スロットだけではメモリ拡張の自由度が非常に低くなるためだ。

 対して、分かりにくいのが技術的メリットという点。本来DDR SDRAMは信号の減衰などの問題から、同一のメモリバスに多くのDIMMスロットを搭載することは難しい。実際にインテル純正のi845シリーズ搭載マザーボードでは、安定性重視の点から、DIMMスロットは2本となっている。

 SiSやVIAといったサードパーティ製チップセットは基本的に3本だが、4本実装ということになると、細かい条件(両面実装のDIMMが使用不可になる、など)を設けるか、デュアルチャネルを使わなくては不可能なのである。なぜここでデュアルチャネルが出てくるのかというと、デュアルチャネルの場合、4本スロットの状態でもそれぞれのメモリチャネルあたりのスロットは2本でしかないため、上述した信号減衰などの問題は発生しないからだ。

 つまりデュアルチャネルは、メモリスロットの増加に強い仕様なのだ。これが技術的メリットというゆえんだ。

 さて、メモリスロットが倍になると、当然ながら1スロットあたりの容量は半分で済む。ここでピンと来た読者の方もおられるだろう。たとえば1GB搭載する場合、512MB×2枚より256MB×4枚の方が安価なことが多いのだ。

 さらに、i845PE/GEをはじめとするPentium 4用の代表的なDDR SDRAM対応チップセットでは、その持てる性能を活かすためにPC2700 DIMM(DDR333メモリ)を搭載する必要がある。しかしE7205の場合は、PC2100でも最高性能を発揮することができる(E7205は、公式的ではPC2100までの対応)。

2GB搭載時では5万円以上の価格差が……。

 ここで、秋葉原における11月下旬のノーブランドメモリの実勢価格に従い、それぞれのメモリ代をおおまかに算定してみよう。

 E7205(256MB PC2100 DIMM4枚構成)の場合は7800×4=31200円程度。対して、i845PE/GE(512MB PC2700 DIMM2枚構成)の場合は、16500×2=33000円と、1000円程度異なる。ここ数週間でPC2700/512MBの価格が下落したためあまり差が出なくなったが、ノーブランドメモリではなく、高信頼性のブランド品メモリの場合、もう少し差が開くと思われる。

 メモリの性能が高いにも関わらず1000円安価。マザーボードが5000円差であれば、コストパフォーマンスは悪くないレベルと言えるのではないだろうか。

 ちなみにさすがに実行するユーザーは少ないだろうが、もし2GBを搭載する場合を想定すると、非常に大きな差となる。E7205の場合が16000×4=6万4000円に対し、i845PE/GEの場合は1GB PC2700 DIMMの実勢価格が60000円程度のため、60000×2=12万円。5万円以上の価格差があれば、マザーボード代の相殺は余裕でできてしまう。

 1GBとか2GBのメモリと聞くと縁遠いと思われる読者もおられるだろうが、ビデオ編集やフォトレタッチ、DTPなどの用途にもPCを使うパワーユーザーは、この程度のメモリを搭載することも少なくない。

 E7205が本来大容量メモリを要求されるワークステーション向けであることを考えると、なおさらこのメリットは大きいだろう。

 デュアルチャネルメモリ対応チップセットは、このように考え方によっては性能だけでなく、メモリ価格(=システム価格)を下げるというメリットがある。2003年のPentium 4用ハイエンドチップセットは、デュアルチャネルDDR対応が主力となるという見込みが大きい。そのため、これからのPC購入の際には、“メモリの搭載枚数と価格”に注意を払うことがポイントになるのではないだろうか。

[橋本新義, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 2/2 | 最初のページ