News 2002年11月29日 05:32 PM 更新

誰か日本語化しませんか? このイケてるメールマイニングソフト(2/2)


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 まず先ほどの例でabc.pdfというファイルを探す例を考えてみよう。Six Degreesにはメッセージ表示、添付ファイル表示、送受信先表示の3つの表示モードがあるが、ここでは添付ファイル表示にしておく。

 手元にabc.pdfがある場合は、そのファイルをクリックしてからSix Degreesに切り替えてみよう。すると、同じファイル名と“似た”ファイル名を添付ファイルの中から、既に探し出してくれているはずだ。Six Degreesはエクスプローラの操作をモニターし、選択しているファイルアイテムに合致する情報を自動検索する。

 次に目的のファイルと思しきアイテムがあったら、それをドラッグしてSix Degreesのツールバーにドロップする。そしてメッセージ表示に切り替えると、abc.pdfが添付されているメッセージと、そのメッセージに関連する(同一スレッドの)メッセージが一覧される。これでabc.pdfが添付されたメッセージと、その前後のやり取りを完全に把握できるわけだ。


添付したことのあるファイルをクリックすると、Six Degreesにはローカルファイル自身と、メールデータベース中の添付ファイルを素早く表示。


その添付ファイルがやり取りされた相手は……と、自分以外にはHiroto Tsutsuba氏だけのようだ。

 さらに今度は、送受信先表示に切り替えてみる。すると、今度はabc.pdfに関連するメッセージにおいて、送受信およびCC先にリストされていた人々の一覧が表示されるので、一連のやり取りで関係した人の連絡先を把握することができる。

 こうした“手繰り寄せ”操作は、無限に続けることが可能だ。上記のケースで、ある特定の人をドラッグし、ツールバーにドロップしてみる。すると、送受信先表示にはドロップしたアドレスの本人の別メールアドレスや、同じ会社(同じドメイン)の別の人、あるいは似た名前の人などがリストアップされる。「そういえば、同じ会社の別の“あの人”、名前はなんだっけ?」とか「この人のプライベート用メールアドレスは、なんだったかなぁ?」といった疑問を、これで解決できる。

 さらにメッセージ表示に切り替えれば、選択したメールアドレスとのメッセージ履歴が表示され、添付ファイル表示に切り替えると、その人とのコミュニケーションで添付されたことのあるファイルが一覧される、といった具合。


そのHiroto Tsutsuba氏をドラッグ&ドロップで検索キーワードに設定


メッセージ表示に切り替えるとHiroto Tsutsuba氏との間でやり取りされたメッセージが一瞬で一覧表示される

 ここでのストーリーで、起点になったのは添付したことのあるファイルアイテムだったが、Six Degreesはエクスプローラだけでなく対応メールソフトとも連携する。たとえば、あるメッセージのスレッドすべてを一覧したければ、メールアイテムをメールソフトの一覧表示から選択し、Six Degreesに切り替え、メッセージ表示モードにすれば、同一スレッドの他アイテムを一覧してくれる。


今度はOutlook上でJunichi Nakagawa氏を選択。添付ファイル一覧を開くと、これまでにやり取りした添付ファイルが一覧された


その中から注目するファイルをひとつ選び、ツールバーにドラッグ。メッセージ表示に切り替えると、同じ添付ファイルが使われた2つのメッセージが見つかった


ところで先ほどのJunichi氏。Six Degreesで検索すると2つのメールアドレスが存在することが判明。送信時には十分気を付けないと、なんてことも検索できる

 つまり「このメールの前後関係を把握し直したいなぁ」とか「このメールスレッドの関係者ってどれだけいるのかな?」、あるいは「一連のメールスレッドでやり取りされた添付ファイルを一覧にしたい」といった要求にも、実に素早く対応できる。

誰か日本語化しませんか?

 仕事に関わるコミュニケーションのほとんどの電子メールに依存している僕の場合、Six Degreesの機能には感心することしきり。今すぐにでも使いたいのだが、残念ながら日本語を表示することは可能なものの、日本語を起点にしたメールデータベースの分析は行えない。

 また、日本語環境での動作も非常に怪しいため、日本語を使わない限定的な使い方をする場合も、注意した方がいいだろう。どんなものなのかを試したい人は、CreoのWebサイトから30日限定の評価コピーをダウンロードできる。

 動作環境はWindows 2000/XPの場合、Outlook 2000/2002をサポート、Macintoshの場合はMacOS X上で動作するEntourageをサポートしている。手元ではWindows XPとOutlook 2002の環境で動かしてみたが、Exchange 2000にオンラインで接続している環境下ではうまく動作しなかった。意図的にオフラインモードでOutlookを起動するか、Exchangeを利用しない設定では(日本語が正しく扱えない以外は)正常に動作する。

 帰国後Creoにコンタクトを取ってみたが、海外市場に興味はあるものの、他言語をサポートするリソースはなく、また販売経路も持っていないとか。Six Degreesはメールデータベースから必要な情報を取り出して、検索用データベースを作成する。この検索エンジン部分を日本語化しなければ、僕ら日本人がSix Degreesを活用することはできない。

 うーん、実に残念。有用な製品だけに、どこか日本語化にトライしようという会社は登場しないものだろうか?

[本田雅一, ITmedia]

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