News 2002年12月19日 08:05 PM 更新

アクセスした時刻を覚えている引き出し――ユビキタスのリアルな形(2/3)


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 具体的には、引き出しの内部に、デジタルカメラ、ライト、高さセンサーが組み込まれ、引き出しを閉じるたびに、入れたものの写真を撮影し、自動的にそれが蓄積される、というように作られているのである。


カメラ付きの収納家具が考案された。Digital Decorの第2弾。Strata Drawer。高さセンサとカメラつきの引き出し。深さ/時刻で書類を見つけ出せる。ちょっと、ドラえもんのタイムマシン風でもある


Strata Drawer(左)。Strata Drawerの深さセンサ(中)。Peek-A-Drawer。ほぼ、原寸大で、引き出しの内部がディスプレイに表示される(右)

 蓄積した写真は、撮影時刻、内容物の高さと共に、Webサーバに格納される。書類を探すときには、高さ情報を参考にしながら実際の書類をめくればよいのだという。厚み的な誤差は、レーザーによる高さセンサー、撮影写真の解像度などから、約2ミリ以内に収まっているという。

 2ミリ以内ということは、紙の厚みを0.1ミリとすれば、20枚程度の範疇ということである。これは、大変興味深いところだ。この「Strata Drawer」があれば、もはや紙の書類が「なくなってしまった」ということは、あり得ないかもしれない。実際、椎尾教授のオフィスで、3カ月以上の稼働実績をもち、少なくとも3度以上、書類の探索において役立ったのだという。


画像は自動的に補正している。撮った写真はLinuxからパラレルポートで制御して、自動的に蓄積される。蓄積された写真はWebブラウザで見ることができる

 通常、書類というのは、机の上に山を成して重ねられてしまうものだが、「Strata Drawer」を使う場合には、引き出しに重ねればよい、と、整理方法がきわめて単純化されている上に探せるという自信もつくため、投げ込めばよいというように意識改革も進み、机の上が整理される効果もあったという。

 いわば、タイムスタンプが野口悠紀雄氏の「超整理法」のコンピュータ版のような役割を果たすわけである。奥のほうにしまってあるものでも見つけられる安心感は、整理を格段に行いやすくするだろう。

 気になる点としては、内部の書類を抜き出してしまうと、それによって高さが変更されてしまうので、必ずしも正確な位置を示さなくなることだ、という。いっそ、すべての書類をペーパーレスしてしまう方がよいのかもしれない、という感じがしなくもない。

[美崎薫, ITmedia]

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