News 2003年1月6日 12:08 PM 更新

最大のトピックは“HCRD”――2003年のCD-R/RW

主役はDVDに譲っても、CD-Rはまだまだ健在。技術的な進化はあまり望めないが、年内にはHCRDの規格がまとまる

 記録型DVDドライブに大きく舵をとった光ディスク業界だが、成熟期を迎えているCD-R/RWはどうなるのだろうかについても予測してみた

 2003年の光ディスク業界の主役は、現在の状況から見ても記録型DVDであることは間違いない。しかし、成熟期を迎えたCD-R/RWは、ことPC用の記録メディアとして2003年も健在。おそらく、主役の座を明け渡したとはいっても、2003年もまだまだ根強い人気を誇るだろう。

最大の技術トピックはHCRD

 とはいえ、2003年のCD-R/RW業界は、高速化など大きな技術的トピックは期待できない。これは、回転数などを考えると、現在すでに販売が始まっている最大52倍速記録で限界に達し、CD-RWもUltra Speed規格が策定され、最大24倍速記録まで実現されたからだ。高速化の可能性があるとしたら、CD-RWの記録速度が最大32倍速になるかもしれないといった程度。CD-R/RWの高速化は、ほぼ打ち止めと考えも差し支えないだろう。

 唯一、CD-R/RW関係で動きがあるのは、「High Capacity Recordable Disc(以下、HCRD)」と呼ばれているメディア規格の策定である。

 この規格は、現在でも流通している80分を超えるCD-R/RWメディアに関してのガイドラインを示したものだ。CD規格外となるため、ロゴマークを使用することはできないが、対応したドライブを使用すれば、12センチディスクで最大98分29秒74フレーム、8cmディスクで30分の記録を行うことができる。

 HCRDは、まだ、Ver1.0の正式アナウンスは行われていないが、規格化が終了すればもちろんこれに対応したドライブが登場することになるはず。メディアも一般的に販売される可能性が高い。CD-R/RWは、今でも700MBを超える容量を記録したいという要望が多い。規格外とはいえ、ガイドラインが設定されることにより、その普及が進むだろう

 もう1点。CD-R/RWは、市場が成熟したことにより、高音質な音楽CDを作成したいといった需要も増えてきているようだ。今年は、筆者の個人的な願望の含め、速度や価格ではなく、記録品質や音楽CD作成時の音質など、特定用途向けの需要が立ち上がることに期待したい。

 現実には、どのくらいの市場があるのかが見えないため、正直なところ、こういった市場が立ち上がるのかは分からない。しかし、昨年には、TDKが63分メディアを同社のホームページで販売するなど、試験的な試みも行われている。価格は高めだが、音質や品質を重視したドライブを販売するメーカーが登場したり、品質を重視したメディアが登場するといったこともあるかもしれない。

[北川達也, ITmedia]

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