News | 2003年1月10日 06:22 PM 更新 |
ソニーは、「2003 International CES」で高速化と大容量化を果たした新しいメモリースティック「メモリースティックPRO」を発表した。これまでは最大128Mバイトまでだったメモリースティックだが、PROの登場で一気に1Gバイトまでの製品をラインアップ。さらに、データの転送速度が「従来の8倍」と飛躍的に向上するという。
メモリースティック PROは、256Mバイト、512Mバイト、1Gバイトの3種類が用意され、3月下旬より発売される(関連記事参照)。単なる大容量化にとどまらず、「動画をターゲットとして」ファイルの高速転送を可能にした製品だ。名称の「PRO」は、「Professional」(プロフェッショナル)、高画質映像を連想させる「Progressive」(プログレッシブ)、そしてデータ保護への対応「Protection」(プロテクション)といった機能や用途を表しているという。
データ転送速度の向上は、転送方式そのものを変更したことで可能になった。メモリースティックには、もともと10本の信号線が用意されているが、これまではそのうちの1本だけを使い、シリアル転送していた。
それを4本に広げ、パラレル化したのがメモリースティックPROだ。「併せてクロックの向上も行い、従来は最大20Mbpsだった転送速度が最大160Mbps(理論値)にまで向上している」(ソニー)。
これにより、1Gバイトのスティックであれば、DVDレベル(8Mbps程度)の品質を持つMPEG-2動画を1本に20数分間記録し、遅延なく再生できる。圧縮フォーマットを変えれば、映画をスティックで持ち歩くことも可能になる。ソニーの担当者は、「今回は動画をターゲットにしていたが、間違いなく(動画を)扱える製品になった」と胸を張った。
ただし、伝送方式の変更は、メディアの互換性に直接影響してしまう。つまり、現在世の中にある、メモリースティックの読み出し機器では、メモリースティックPROのメディアを利用することができない。また従来のメモリースティックとはフォーマットも異なるという。
「今後の製品には、両対応のスロットが付くことになるだろう」(同社)。その第1弾は、同時に発表されたDVカムコーダ「DCR-TRV33」だ。今のところ北米向けのモデルとなっているが、国内でもリリースされる見込み。
オン・オフでデータを保護
もう1つの目玉は、アクセスコントロール機能だ。メモリースティックPROの発売に合わせ、ソニーは専用の「アクセスコントローラー」をリリース。これにスティックを挿入し、スイッチのオン・オフを切り替えるだけで、ユーザーが簡単にアクセス制御を行えるようにする。
「コントローラは、スティックのロック・アンロックといったステータスを変更するもの。もちろん、他人のコントローラで変更できないよう、ユニットごとに独自の鍵を持っている」(ソニー)。
展示会場では、据え置き型のプロトタイプを使ってデモンストレーションを行っていたが、製品化時にはコンパクトなネックレスタイプになる予定だという。
メモリースティックの用途が広がる
CESの基調講演でソニーの安藤国威社長兼COOは、VAIOやCocoon、プレイステーション2といった一連のネットワーク対応製品を取り上げた後、「1つだけ、オフラインのネットワークがある」としてメモリースティックPROを紹介。同時にメモリースティックを録画媒体として利用するカムコーダのプロトタイプを披露した。
今回のプロトタイプは、既存のDVカムと変わらない大きさだったが、miniDVなどよりも遥かにコンパクトなメモリースティックを動画の録画にも使えば、カムコーダのサイズもより小型化できるだろう。こうした関連製品の展開も含め、メモリースティックの用途はさらに広がりそうだ。
[芹澤隆徳, ITmedia]
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