News 2003年1月11日 01:16 AM 更新

音楽流通のセキュリティ技術「SDMI」とはなにか?

シリコンベースの音楽とセキュリティの問題を考える上で避けて通れないのが「SDMI」という技術。簡単にその成立の経緯と仕組みを紹介する

 メモリースティックやSDメモリーカードなどのシリコンオーディオプレーヤーで見かける「SDMI(Secure Digital Music Initiative)」準拠という文字。SDMIとはどういったものなのかを説明しておこう。

 SDMIは、レコード、コンピュータ、民生用エレクトロニクス業界など、110社を超える企業が参加して作成された国際的な業界団体。デジタルフォーマットを使用した音楽流通とその利用モデルにおける「セキュリティ技術」の確立を目的として結成された。    SDMIでは、現在、メモリーカードを用いたポータブル機器に対する“標準仕様(SDMI Portable Device Specification Part 1, Version 1.0)”が策定されている。現在販売中の“SDMI準拠”のシリコンオーディオプレーヤーなどは、すべてこの仕様を基づいて設計されたものだ。

 ただし、SDMIは、記録に使用するメモリーカードの種類や音楽の圧縮方式や暗号化の方式などを規定したものではなく、あくまで、コンテンツのセキュリティの確保のための“国際的なルール”作りをしたもの。つまり、ポータブルプレーヤーやパソコン上で動作するアプリケーションがセキュリティを確保するために、何をする必要があり、何をしてはいけないかといったルールを定めたものとなっている。

 SDMIでは、いくつかのルールがあるが、コンテンツ提供者が、コンテンツごとにコピー許諾個数などの条件を「利用ルール」として設定でき、デフォルトでは、「最大4個」の複製を作成することができる。ただし、この4個の中には、ハードディスク上に記録したものが1つ目としてカウントされるため、複製できるのは「最大3つ」の機器に対してのみである。

 例えば、音楽CDからリッピングを行った場合は、リッピングによって作成された音楽ファイルが1つ目(親)となり、音楽配信で楽曲をダウンロードしたときも同様。もちろん、機器に対して複製された音楽ファイルからの孫コピーを行うことはできない。

 さらにHDD内にリッピングやダウンロードなどによって保存した音楽ファイルは、配布時に暗号化されていなくても、保存時には、必ず、暗号化して記録することと決められている。

 加えて、、ポータブル機器またはそれようの記録メディアのどちらか片方に必ず「ユニークなID番号」を記録する必要があり、ポータブル機器は、デジタル入力、アナログライン入力を通じて入ってくるデータを必ず監視する必要がある。そして、入ってくるデータにコピー不可などのマーク(ウォーターマーク)が施されていた場合は、それにしたがって、不適切なコンテンツの侵入を遮断する必要がある。

 SDMIは、このようにデジタルデータ(音楽データ)のセキュリティ技術である。ウォーターマークによって、利用ルールを埋め込んでおき、対応した機器ではそれ必ず検出する必要がある。再生時は、保存されたコンテンツと機器が認証を取り合い、暗号化を解いて再生を行うという仕組みとなっている。

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[北川達也, ITmedia]

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