News:ニュース速報 2003年1月22日 08:23 PM 更新

「Segway特区」構想も──構造改革特区案を見る


 政府の構造改革特別区域推進本部はこのほど、特区の第2次提案状況について概要を公開した。412に上る提案の中には、未来の移動手段として注目を集める「Segway」(開発コードネーム:Ginger)を自由に乗ることができるようにする特区を設定する案もある。政府の構造改革特別区域推進本部サイトに掲載された特区案を見てみた。


日本の公道を走るには問題があるとされるSegway。特区が実現すれば幕張メッセのイベントにはこれに乗って行ける?

 「特定地域におけるセグウェイヒューマントランスポーターのレンタル事業」(千葉県)を提案したのは、ベンチャー企業家として知られる伊藤穰一氏が社長を務めるベンチャーキャピタルのネオテニー。電動スクーターとして期待されるSegwayのレンタル事業を行うために、道路交通法の規制に特例を導入するものだ。千葉県は幕張メッセや東京ディズニーランド、成田空港など集客力が高く面積も広い商業地を抱えており、Segwayを活用することで交通渋滞の緩和や環境汚染対策などに貢献できるとしている。

 Segwayはクリーンな乗り物として注目されているが、仮に日本で公道を走る場合は「原付」として扱われる可能性が高い(関連記事を参照)。従ってナンバープレートの取得やウィンカーなどの保安器の装備が必要な上、走行できるのは車道に限られ、歩行の代替手段としての普及を望むのは難しい。特区案は道路交通法の一部適用除外を求め、Segwayを手軽に利用できるようにするのがねらいだ。

 米国ではSegwayに合わせて関係法規を改正する動きもある一方、歩行者に対する危険性からSegway反対運動も起きている(関連記事を参照)。

 構造改革特区は、小泉内閣が進める構造改革の一環。2002年12月に「構造改革特別区域法」が施行され、地域の特性に応じた規制の特例措置を認めている。全面的な規制緩和に踏み切った場合に想定される政官の抵抗を「特区」という限定措置で切り抜ける消極的な政策との指摘もあるが、ふたを開けてみれば地方自治体や企業、NPO、個人が知恵を絞ったユニークな提案が集まった。

 IT関連では、話題になった福岡市の「ロボット特区」のほか、IP電話関連の提案が目立った。Microsoft Asiaは「インターネット電話番号割り振り特区構想」(沖縄県)を提案。「専用IP回線を持つ電気通信事業者のみに認められているIP電話サービスを、インターネットを利用するIP電話サービスについても可能にする」ものだという。これは「050」番号を付与できるIP電話サービスが、専用IP回線を持つ電気通信事業者に限られているのを拡大する提案だ。

 アイピートークの「インターネット電話用電話番号付与構想」(東京都)も同様に、「050」番号の付与の対象を一般の「通信経路としてインターネットを利用するサービス・端末」にも拡大し、ユーザーの利便性向上を図るというもの。ネオテニーの「電話番号特区」(地域限定なし)では、IP電話について都道府県が主体的に柔軟に電話番号を割り振れるよう提案している。

 ネオテニーはこのほか「無線LAN活用特区」(地域限定なし)も提案している。高出力なため電波法で規制される無線LAN機器を、地域の電波利用状況を勘案して認定機器と同様に扱えるようにし、安価にブロードバンドサービスを実現するものだ。東大工学部の藤末健三助教授による「電波特区」は、電波利用度の低い地方などで実験局の開設用件や周波数分配方式を緩和することで、無線技術の発展を図るという。

 提案は関係各省に検討を要請し、2月下旬をめどに実施する提案を決定する予定。


NPOや個人の提案は「シュタイナー学校」の設立といった教育関連が多い。変わったところでは「比婆山のロマンを探求する会『イザナミ特区』」もある。ヒバゴンの保護区だろうか?

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