News 2003年1月23日 09:45 PM 更新

“らしさ”の復活を目指すソーテックの新商品戦略

ソーテックが発表した個人向けPCの春モデルは、同社らしい高コストパフォーマンス機が登場したものの、製品ラインアップは少なめ。“商品の選択と集中”をはかる同社の商品戦略とは?

 ソーテックは1月23日、個人向けPCの春モデルを発表し、同社のPCラインアップを一新した(スペックなど詳細は別記事を参照)。

 今回の春モデルでは、ノート/デスクトップ合わせて4シリーズ8機種が用意されたが、今年前半ぐらいまでの同社製品ラインアップから比べると、品揃えの面で物足りなさは否めない。だがこれは、同社が進める経営改革の一環で、戦略的に商品を絞っているのだという。新製品発表会で、同社の新しい商品戦略が語られた。


ソーテックが発表した春モデル製品群

 同社の業績は、2000年をピークに2001年、2002年と低迷を続けている。同社取締役の平沢潔氏は「業績低迷のもっとも大きな原因が、製品ラインアップの多さ。過去われわれは、ローエンドからハイエンドまで多くの製品を投入し、価格帯も30万円近くから10万円以下までと幅広くなっていた。製品バリエーションが多くなることで、開発の負担も増加し、在庫管理や原価低減も難しくなるという問題を引き起こしていた」と語る。


過去の同社製品ラインアップ。ローエンドからハイエンドまで多くの製品を投入していた

 同社は昨年の夏以降、新しい事業戦略のもとに経営改革を進めている。その戦略のキーワードが“商品の選択と集中”だ。「ラインアップを広げすぎて、PCに“ソーテックらしさ”が失われていた。われわれは、ユーザーの実需に応える10万円前後の高スペック製品にリソースを集中し、製品ラインアップを戦略的に絞り込んでいる」(平沢氏)。

 今回の春モデルは、1番高い機種でも12万9800円と価格の安さが特徴だ。「9万9800円や12万9800円のPCを主力製品とし、15万円以上のPCは戦略製品として位置付けた。設計デザイン部門もこれら主力製品の開発に専念しており、コストパフォーマンスの高い製品作りができる体制を、海外調達先工場と協力して作り上げている」(平沢氏)。

 デスクトップPCは、きょう体を省スペース型スリムタイプ(Vシリーズ)と、ミニタワータイプ(SXシリーズ)の2種類に集約。17インチCRTをセットにして6万9800円という普及価格の「PC STATION SX6130/P7G1」から、Athlon XPプロセッサ、 大容量HDD、TVチューナー、DVD Multiドライブ、液晶ディスプレイなど充実した機能を装備しながら12万9800円以下としたVシリーズまで、10万円前後ながらも高スペックな製品群が用意された。


17インチCRTをセットにして6万9800円という普及価格の「PC STATION SX6130/P7G1」


充実の機能で12万9800円以下のVシリーズ

10万円以下製品で狙う“ノートPCのソーテック”の復権

 新戦略の命運を担うのが、低価格ノートPCだ。同社は昨年10月に、モバイルCeleron-1.20GHzや12.1型TFT液晶、CD-ROMドライブを搭載しながら9万9800円という低価格を実現したオールインワンノートPC「WinBook WLシリーズ」を発表。昨年冬商戦の台風の目となった。「WLシリーズは品切れをおこすほど人気で、大手PCショップで売れ筋トップ3にランクインするなど好調な売れ行きを見せた」(同社)。

 春モデルで用意された新WLシリーズ「WinBook WL2130」は、CPUのクロックアップをはかりながら9万9800円という価格は据え置かれた。


9万9800円のWinBook WL2130

 「光学ドライブ付きで10万円以下というノートPCは、他社が取り組めなかった領域。WLシリーズで、低価格ノートPCという新市場を開拓していくとともに、かつてWinBookで築き上げた“ノートPCのソーテック”の復権を果たしたい」(同社)。


10万円以下のノートPCは、他社が取り組めない領域

 今回の春モデルはハードウェアが安いだけでなく、プリインストールアプリケーション群の充実も図られている。その中でも特筆したいのが、全モデルに標準搭載されたビジネス統合ソフト「Lotus Super Office for SOTEC」だ。

 「Super Officeは、Microsoft Officeのアプリケーション群と非常に高い互換性を持つ。Microsoft OfficeはバンドルするとPC本体価格に2万円上乗せしなければいけないが、今回のSuper Officeは、IBMに無理をいって、バンドルしてもPC本体価格に影響のない価格で提供してもらった」(大邊創一社長)。


Microsoft Officeはプラス2万円だが、Super Officeなら0円?

 日本アイ・ビー・エム常務の堀田一芙氏は「大邊社長から、低価格だけどしっかりした製品を作りたいから協力してくれと説得された。現在、PC本体の価格は大幅にダウンしているが、ソフトはいっこうに安くならない。今、若い世代で昔の歌が再び脚光を浴びているが、同じように(Lotus 1-2-3など)昔の良いソフトをもう一度見直して、ブランドに左右されずやりたいことをやる時代がきている」と語り、低価格ながらMicrosoft Officeに匹敵する高機能を備えたSuper Officeをアピールした。

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[西坂真人, ITmedia]

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