News:ニュース速報 2003年3月5日 07:11 PM 更新

東芝、ノートPC直結の燃料電池を開発

東芝は3月5日、ノートPC用小型メタノール燃料電池を開発したと発表した。従来のリチウムイオン充電池の代替としてノートPCに直結するタイプ。約5時間の発電が可能で、2004年中の製品化を目指す

 東芝は3月5日、ノートPC用小型メタノール燃料電池を開発したと発表した。従来のリチウムイオン充電池の代替としてノートPCに直結するタイプは世界初だとしている。約5時間の発電が可能で、2004年中の製品化を目指す。


 開発した燃料電池は「ダイレクトメタノール型」。メタノールを直接電池に供給し、化学反応により発電する方式で、固体高分子型と異なり、メタノールから水素を取り出すための改質器が不要な分、小型化できる点が特徴だ。


 開発品は電圧11ボルトで平均12ワット、最大20ワットの出力が可能。高濃度メタノール100ccで約10時間、50ccで約5時間の発電が可能。サイズは275×75×40ミリ、重さ900グラム。カートリッジは100ccタイプで50×65×35ミリ、重さ120グラムとなっている。接続部分を共通化し、リチウムイオン充電池を使うことも可能だ。


 燃料電池を小型化したい場合、濃度が高いメタノールを使えば燃料タンクの大きさが小さくて済むが、高濃度の場合は発電効率が低い点が課題だった。東芝は、高濃度メタノールを発電部に供給する段階で最適な濃度に自動調節する「希釈循環システム」を開発。性能が出やすいとされる濃度3−6%の場合と比べ、タンク体積を10分の1に小型化することが可能になった。

 また全体の運転条件の最適化により小型化を図った上、PCの使用状況に合わせて発電モードを自動選択するPCインタフェースも開発。濃度センサーや残量センサーの新開発や運転状況に応じた補器のマイコン制御など、製品レベルに近いものになっている。

 成果は情報通信技術関連の国際展示会「CeBIT2003」(独ハノーバー、3月12−19日)で展示する。



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