News | 2003年3月12日 10:05 PM 更新 |
ソニーは3月12日、バイオノートの新製品2機種「バイオノートZ」「バイオU」を発表。同日、都内でマスコミ向けに新製品説明会が行われた。
新ラインアップとなるバイオノートZには、インテルが本日正式発表した「インテル Centrinoモバイル・テクノロジ」が搭載されている。にもかかわらず、本来売りであるはずの「Centrino」という言葉が開発者の口からほとんど出てこない“異例”の説明会になった。
挨拶に立ったバイオノートブックカンパニープレジデントの島田啓一郎氏は、新製品の商品コンセプトが「モノづくり伝統の復権」であることを強調する。
「1997年の誕生以来、バイオが目指してきた商品コンセプトは“映像と音楽に強い”“持つ喜びを感じる”“本当に持ち運べる”“通信に強い”の4点だった。今年は、その中でも持つ喜びを感じる部分、つまりかっこよさや質感のよさといった“モノづくりのコダワリ”に力を入れていく」(島田氏)。
続いて新製品の説明役として登場したのが、同社デザインセンター商品企画担当の片岡哲氏。デザイナーが先頭を切って新製品を紹介するというプレゼンテーション自体も珍しいが、驚くべきは、今回の説明会で“開発者”として登場したのは結局この片岡氏1人だったということだ。
バイオUは“一枚板”、バイオノートZは“連続感”
今回の新バイオは「わくわく感があること」「所有するよろこび」「必然性のある造形」をデザインコンセプトとしている。バイオUでは、“わくわく感”として、“一枚板”というコンセプトを導入した。
「ヒンジ部の改良で液晶画面が180度開いて、一枚板のようになる。例えば、雑誌のページを広げて1枚の板を見る感覚で使うイメージ。持ち歩く時は小さいが、180度開くと広くて使いやすい。モバイルグリップスタイルでもグリップ感があるように、背面に装備するバッテリセル間を空けて、指がひっかかるクボミも付けた。1枚の板をグリップするような新感覚をぜひ体験してもらいたい」(片岡氏)。
常に持ち歩くコンセプトとしたバイオUは、カラーリングにもこだわっている。「従来の金属的なメタリックシルバーではなく、ダークブラウンを採用した。またミラー調のロゴは、電解純ニッケルという高級時計の文字盤に使われる金属材質を使用。機械的なものでなく、ファッションテイストでまとめてみた」(片岡氏)。
一方、バイオノートZのコンセプトは“連続感”。パームレスト側から液晶面にかけて連続した曲線を描くデザインを採用。また、黒いパートではPCの機能部を集中させ、それを曲線を持ったシルバーで包むなど、カラーリングにも意味を持たせている。
「例えば、平らな2枚の板で作られたイスと、座面から背もたれや肘かけにかけて連続した曲線を描いているイスとでは、座るという機能は両方にあるものの、後者には安心感や豊かさが感じられる。ノートPCはこれまで2枚の板が単に開いたというストイックな空間だったが、この2つの面に連続感をもたせることによって精神的な豊かさや安心感が加わった」(片岡氏)。
そのほかにも、携帯電話などで使われているカム機構を採用することで液晶画面をロックするラッチをなくしたり、1台ずつ人の手によって貼りこまれたバイオロゴのプレミアムヘアライン素材など、細部に至るまで“モノづくりへのこだわり”が盛り込まれている。
ところで、Centrinoは?
もちろんデザインコンセプトのみで終始したわけではない。機能やスペックなどの紹介は、同社広報担当から“ごく簡単”に行われた。だが、その内容はというと、発表資料ベースのものばかり。バイオノートZに搭載したCentrinoに至っては、説明会開始から40分以上が過ぎてやっと広報担当の口から「Centrino」の言葉が出たほどだ。
しかもCentrinoの説明に費やした時間は、たった30秒。それも“持ち歩けるメインマシン”というバイオノートZのコンセプトを実現するための“手段”として、たまたまCentrinoプラットフォームが適していたという点だけ。同社の新製品は、“デザイン/コンセプトありき”であって、決して“同社初のCentrinoマシン”ではなかったのだ。
なお、「Pentium-Mのコアが使われているのでは」とのウワサが流れているバイオU搭載の「超低電圧版モバイルCeleron/600A MHz」についても、従来機種(PCG-U3)の約7倍のパフォーマンスという以外は、詳細は語られなかった。
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[西坂真人, ITmedia]
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