News 2003年3月13日 00:44 AM 更新

日本AMD、BartonコアのモバイルAthlon XP-Mを発表

日本AMDは12日、低電圧版やBartonコアベースのものなど、モバイルAthlon XP-Mの新製品群を発表した。同社がこれまでカバーしていなかった軽量薄型ノート向けの製品も投入するなど、同日に発表されたIntelのCentrinoに真っ向から挑んでいく方針だ

 日本AMDは3月12日、新しいモバイル用CPUを発表した。これまでAMDのモバイルCPUではカバーをしていなかった2.0キロ以下ノートPC用の低電圧版やBartonコアベースなど、注目される製品が登場している。


OPGAのBartonコアベースのモバイルAthlon XP-MとμPGAの低電圧版モバイルAthlon XP-M。μPGAのピンは563本とかなり増えているが、グランド用ピンが増えているだけでアサインされている信号に変わりはない。そのため、既存のチップセットでも対応可能と日本AMDは述べている。なお、BGAを採用しなかったのは「PCベンダーからCPUのリプレースできるようにμPGAにしてほしいというリクエストが多かった」(日本AMD関係者)ためだ

 CPUの発表に先立って、日本AMDの吉沢俊介取締役がスピーチに立った。「(年間1億3000万台のPCが出荷されている状況で)1社のソリューションがすべてのPCをカバーできるとは思えない」「AMDのビジネスモデルはCPUのみに注力するものだ。ほかのパーツに関しては、ほかのコンポーネントベンダーに任せるべき。そこで起こる競争によって、PCベンダー、エンドユーザーが選択の自由を確保し、市場の成長を促す」といった具合に、そのスピーチでは当然のことながら、同日発表されたIntelのCentrinoを十分意識する発言も飛び出していた。


AMDと競合他社(といってもインテルしかいないのは明白であるが)の比較。要するに1社ですべてのソリューションをカバーするよりも、多数のベンダーで競争した上で登場したパーツのほうがいいシステムを構成できますよ、というのが日本AMDの主張というわけだ

 今回日本AMDから発表されたモバイル向けCPUはコアやクロックの違いで分けると多岐に渡る。シリーズとして見れば、「BartonコアベースのモバイルAMD Athlon XP-M」(以下Athlon XP-M)と「Thoroughbred/Bartonコアベースの低電圧版モバイルAMD Athlon XP-M」(以下LV Athlon XP-M) そして、デスクトップリプレースノートPC(よく言われるデスクノートPC)用途として「ThoroughbredコアベースのモバイルAMD Athlon XP-M」の3系統が新規に追加されている。なお、今回BartonコアベースのCPUが投入されたが、FSBは266MHz(低電圧版の一部では200MHz)になっている。


Athlon XP-M/2500+、Athlon XP-M/2400+、モバイルPentium4-M/2.4GHzのベンチマーク。使用しているのはSYSmark2001、Winstone 2001、3DWinBench、3DMark2001など


今回の新CPU投入によって、モバイル用CPUの系統はDTR(デスクノート用)、Mainstream、Standardに加えLow Voltageが加わった。また、DTR以外の系統では低クロックではThoroughbredコア、高クロックではBartonコアが存在する。ただし、グラフでは抜けているが、LV Athlon XP-M/1800+ではThroubredコアとBartonコアの2種類がある。なお、各系統におけるピーク時消費電力、駆動電圧は下表のようになっている。

Low Voltageピーク時消費電力25W
駆動電圧1.05−1.25V
Standardピーク時消費電力35W
駆動電圧1.05−1.4V
Mainsteramピーク時消費電力45W
駆動電圧1.05−1.4V
DTRピーク時消費電力70台W
駆動電圧不明

 LV Athlon XP-MのパッケージはμPGAでダイサイズもOPGAのものより小さく、また厚さも薄くなっている。このおかげで「2.0キロ以下のノートPCでも搭載可能」(日本AMD サムローガン氏)になった。

 また、今回の発表では2004年2Hまでのサーバ、デスクトップ、モバイルの各レイヤーにおけるロードマップの説明も行われた。この中で、2003年2Hに登場予定のデスクトップ用Athlon 64とモバイル用Athlon 64それぞれのメモリインタフェースの仕様に、違いが出る可能性があることを示唆していた。


LV Athlon XP-M/1500+を搭載したシャープのMebius MURAMASA PC-MV1-VC1。その向こうにあるのは参考出品ながらBartonコアベースのAthlon XP-Mと搭載したエプソンダイレクトのEndeavor NT-2000

[長浜和也, ITmedia]

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