News 2003年3月17日 07:00 AM 更新

CeBIT
生活にとけ込む「レゾナントウェア」〜NECの未来ガジェット

単に“未来風”のデザインなのではなく、IT機器として意識せずに使える道具を目指したデザインコンセプトモックを、NECブースで見ることができる。担当の根本実チーフデザイナーの話すその狙いは?

 CeBITのNECブースでは、グループ会社のNECデザインがデザインした未来型のデバイスが展示されている。コンセプトは「レゾナントウェア」。担当の根本実チーフデザイナーは、「生活の中にとけ込めるようなデザインを目指した」と話す。


左はDuo Phone。併せて展示されているDuo PCと組になって動作する。右は、ペン型のデバイス、P-ISM。「プロジェクターと投写型キーボードを備えた、ミニマムなコンピュータだ」(根本氏)


Duo Phoneのディスプレイは2つに分かれて、分離する。テレビ電話の際には、取り外したディスプレイを見ながら、会話のほうは通常の携帯電話のスタイルで行える。Duo PCとセットとして使うと、スキャナとしても利用できる


navaは、中央に360度撮影できるカメラを備えたホーム向けデバイス。右はデジカメであり、画像ビューワでありアクセサリのwacca

 IT機器として意識せずに使える道具──。これがレゾナントウェアの目指すところだ。ホーム向けのコミュニケーション機器、「nava」はそれを体現したものの1つ。「テレビ電話は、これまでカメラの前に立っていなければならなかった。navaを使うと、同じ部屋にいる人同士のような会話ができる」(根本氏)。

 一見アクセサリにしか見えない「wacca」は、デジタル写真の新しい利用法を提案する。これ自体がデジタルカメラとして動作し、撮影した画像のサムネイルはリングの中に浮かび上がる。「データ自体をアクセサリーに」するという狙いがある。


waccaで撮影している模様(左)。普段はアクセサリーとして使う(右)

 デザイナーが手がけたIT機器は、1年ほど前までは単に“未来っぽい”だけのものが多かった。しかし最近では、デザインから利用法、生活スタイルを提案するものに変わってきている。今回のNECのコンセプトデザインも、これまでの常識にとらわれないIT機器の活用の姿を見せてくれるものだ。

 また、シンプルかつ高級感を感じさせるデザインにも注目したい。NEC製の製品は、斬新なデザインというよりもオーソドックスでコンサバティブなものが多い。携帯電話では特に、なかなか新しいデザインに踏み出せないでいるように見える。

 今回展示した機器はそれぞれデザインコンセプトモックであり、製品化される予定はない。しかし、こうしたデザインのエッセンスだけでも実際の製品に生かすことができれば、NEC製品のイメージも大きく変わるだろう。



関連記事
▼ ブレスレット型映像記憶端末──NEC、未来デバイスをCeBITに出展
NECは、同社グループのデザイナーが考案した“未来のデバイス”を「CeBIT 2003」に出展。発売の予定はないとしているが、ブレスレット型の映像記憶端末や手書き入力機能付きのペン型携帯電話など、ユニークなガジェットが目をひく

▼ 特集:CeBIT 2003
世界最大のIT関連展示会「CeBIT 2003」が、ドイツ・ハノーバーで開幕した。幕張メッセの6倍以上という広大な26の展示ホールに、世界69カ国から6526社が出展。会場はIT関連、通信/ネットワーク、ソフトウェア/サービスなどに分かれて、最新技術・製品を展示する

[斎藤健二, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.