News 2003年3月18日 12:19 PM 更新

CeBIT
Philips、近距離無線規格「NFC」をデモ

ソニーの「FeliCa」やPhilipsの「Mifare」と互換性を持つ、近距離無線規格「NFC(Near Field Communication)」。Philipsブースでは、NFCを使った音楽配信のデモを行っている

 Bluetoothでもなく無線LANでもない近距離無線規格「NFC(Near Field Communication)」が、にわかに注目を集めつつある。Royal Philips ElectronicsはCeBITの同社ブースで、NFCを使ったデータ通信のデモを行っている。


 NFCチップが内蔵された携帯電話を使い、アクセスポイントと通信して楽曲データを購入するもようが実演された。

 携帯電話をアクセスポイント上に置き、インターネット上で楽曲データを購入する。すると楽曲の権利情報がNFCを使って携帯電話に転送される。


 今度はNFC搭載のオーディオに携帯電話を置くと、オーディオが携帯電話から権利情報を読み取り、楽曲の再生を始める。

 NFCはPhilipsとソニーが共同開発している短距離無線規格で、13.56MHzの周波数帯を使い最大速度212Kbpsの通信を行う。大きな特徴は、世界各国で電子マネー向け非接触ICカードとして使われている「Mifare」(Philips開発)、「FeliCa」(ソニー開発)と通信の互換性があることだ。またNFC搭載機器同士のピア・ツー・ピアの通信も行える。

 担当者はBluetoothや無線LANと異なり、通信エリアが狭い点を強調。広い範囲に電波が飛んでしまうBluetoothと異なりセキュリティが高いと話した。また同じ理由から、Bluetoothや無線LANと競合するものではなく、補完しあう技術だとしている。

 Philipsによるサンプルチップの出荷は今年半ば。来年には量産に入るという。

「Connected Home Space」を打ち出すPhilips

 Philipsブースは、「Connected Home Space」コンセプトに基づいた製品で盛り上がっている。Wi-Fi(802.11b)を使い、テレビやビデオ、オーディオからエアコンまで1つのリモコンで操作しようというのが「iPronto」。

 Linuxベースのタブレット型機器で、タッチパネルで各機器を操作できる。Webブラウザも搭載しており、インターネットへのアクセスも可能だ。

 アクセスポイントとセットで、既に米国では1700ドルで発売しており、欧州でも2000ユーロで今年半ばから発売されるという。



無線LANではなく赤外線を使ったモデルもある(右)。こちらはWebの閲覧などはできないという



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[斎藤健二, ITmedia]

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