News 2003年3月25日 10:24 PM 更新

暗号化した添付ファイルを“永続的”に利用制限――イージーシステムズ、情報漏えい防止ASPサービス

イージーシステムズジャパンが、メールに添付したファイルからの情報漏えいを防止するASPサービス「Wrapsody(ラプソディー)」を発表した。送信ドキュメントを“永続的”にコントロールできる点が特徴だ

 イージーシステムズジャパンは3月25日、メールに添付したファイルに利用制限と暗号化を施すことで情報漏えいを防止するASPサービス「Wrapsody(ラプソディー)」を4月21日から開始すると発表した。

 Wrapsodyは、電子メールの添付ファイルとして送信される各種ドキュメントを暗号化し、正しい送信相手以外は利用できなくする暗号化メールソフト。暗号化によって電子メールの「封印」や「署名」の役割を果たすこの手のソフト/サービスは、すでにさまざまなものが実用化されているが、Wrapsodyはメールに添付するドキュメントを“永続的”にコントロールできる点が特徴となっている。

 「SSLなど従来の暗号化メール技術は送付経路間を暗号化するものだったため、暗号を解除した後のファイルは誰でも閲覧/印刷/保存などが可能となり、重要情報が他人に渡ったり、ファイルの改ざんといった問題が発生していた。Wrapsodyでは、相手先に渡ってもファイルは暗号化されたままで、さらに利用制限を常にコントロールできる。そのため、永続的な情報漏えいや不正利用の防止が可能となる」(同社)。

 Wrapsodyのユーザーは、自分が作成した各種ドキュメントファイルに受信者の利用制限(閲覧期間の限定、印刷禁止、保存禁止など)を設定した上で暗号化し、添付ファイルとして送信することができる。受信者は設定されている利用制限の範囲でのみ、添付ファイルを取り扱うことが可能となるのだ。


Wrapsodyでは暗号化ファイルに利用制限を設定できる

 受信した暗号化ファイルを利用する時は、専用のビューワを使用する。ビューワはファイル利用のたびにサーバにライセンスを要求し、受信者の本人認証や利用権利の確認を行うという仕組みだ。このようなシステムでは、ビューワをダウンロードする手間が問題となるが、Wrapsodyではビューワが暗号化ファイルとセットでモジュール化され1つの添付ファイルとなるため、受信者は添付ファイルを開くだけで、ビューワが自動的にインストールされる。


Wrapsodyの仕組み

 「Wrapsodyユーザーは、相手がファイルを受信した後からでも、ファイル利用権利を抹消することが可能。もちろん正しい送信相手以外は添付ファイルを開くことができないので、誤送信に対する安全策としても有効」(同社)。


添付ファイルを選択して閲覧者のメールアドレスを選び、利用制限の項目をチェックするだけという3ステップの簡単設定

 対応メールソフトはMicrosoftのOutlook/Outlook Expressで、暗号化および利用権利の設定が可能なファイル形式は、Microsoft Office 2000以上で作成されたWord(.doc) /Excel(.xls)/パワーポイント(.ppt )の各ファイルと、TIFF/GIF/BMP/JPEGといった画像ファイル。対応OSはWindows 2000/XP日本語版で、IE5.5 (SP2)以上のインターネットブラウザが必要となる。

 ASPサービスの料金体系は、基本機能、受信者数、利用通知メール送付機能の違いによって、ベーシック/スタンダード/プレミアムの3コースを用意。ライセンスの契約期間は、1カ月ごとの更新と年間契約の2種類が選べる。受信者数20人以下のベーシックが500円/月(5000円/年)、同50人以下のスタンダードが1000円/月(1万円/年)、同100人以下のプレミアムが2万円/年。

 WrapsodyはASPサービスだけでなく、今年6月をめどに法人向けにサーバーソフトのレンタルや販売なども実施。同社では年内に1万ユーザーの登録を見込んでいる。

 ファイル利用の際に常時接続環境が必要な点や、認証や利用権利確認のために毎回サーバにアクセスする煩わしさはあるが、機密性の高いファイルのやり取りには有効なシステムになりそうだ。また、月額500円からというコースを設けるなど、企業だけでなく個人ユーザーでも十分利用できる低コストさにも注目したい。同社では企業や官公庁、各種団体のほか、セキュリティの意識が高いSOHOユーザーなど幅広い需要を見込んでいる。

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[西坂真人, ITmedia]

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