News | 2003年3月28日 09:54 PM 更新 |
NECは3月28日、既報の通り同日付で同社の社長に就任した金杉明信氏の記者会見を都内で実施。金杉氏は今後の経営方針などを語った。なお、前社長の西垣浩司氏は、同日付けで代表権のある副会長に就任している。
金杉氏は同社の現状について「営業利益の2002年度目標達成にめどがつくなど収益性は回復基調にある。また、半導体部門の分社化やPC事業の黒字化など、前任の西垣が行ってきた構造改革も順調に進展している。ただし、年金資産や繰延べ税金資産など資金運用環境の悪化で株式資本が脆弱になっている。今後1年でこの問題にめどをつける必要がある」と語り、財務体質の改善が急務であることを強調した。
経済の長期低迷、デフレ環境の継続、イラク戦争など、現在の厳しい経済環境下で、金杉氏が掲げる経営課題克服への取り組みは「全員参加による前者一丸の経営組織」と「新たな成長戦略の確立」だ。
オープンでフラットな経営体制へ
今回、金杉新社長のもとでの全社一丸の俊敏な事業運営体制の構築にあたって、同社は従来のカンパニー制から事業ラインをベースにしたあらたな経営体制への転進を図る構えだ。
同社は1999年9月に、カンパニー制を軸とする経営体制の整備・強化を発表。翌2000年4月に「NECソリューションズ」「NECネットワークス」「NECエレクトロンデバイス」の3つの社内カンパニーを発足した。さらに事業ドメインごとに経営資産を集中させるため、半導体事業を行うNECエレクトロンデバイスが2002年11月に分社・独立し、新会社「NECエレクトロニクス」を設立している。
「半導体が分社化した結果、ITソリューション事業とネットワーク事業の2カンパニー構造になったわけだが、環境の変化によって両事業が類似・統合化してきた。新体制では、ITとネットワークの統合ソリューションサービスを提供するべく、両カンパニーの事業を融合してオープンでフラットな経営体制にしていく。たとえば、ブロードバンド事業ラインを新設するほか、モバイル事業では端末とインフラが一体となった運営体制でグローバル事業展開を強化。パーソナル向けには、BIGLOBE/PC/モバイルを組み合わせたユビキタスソリューションといった成長戦略も考えている」(金杉氏)。
安定志向から“燃える集団”へ
金杉氏はまた、経営施策の中に「マネジメントの革新」を掲げる。
「企業風土として、現場主義・顧客主義といった“CS文化の浸透”を目指す。また、事業ラインでの責任の明確化や成果主義の徹底を図るほか、外国人採用や中途採用の拡大、若手女性の起用などで、全社を“個を活かした燃える集団”にしていく」。
「NECの財産は、優秀な社員による高度な技術力の蓄積。ただし、社員の意識調査をみると、安定志向が強くて貪欲さに欠ける面がある。個人主義を強め、チャレンジ精神を持った企業文化にかえていきたい」(金杉氏)。
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[西坂真人, ITmedia]
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