News | 2003年4月2日 05:58 PM 更新 |
USBコントローラを最初に内蔵したチップセットはIntelのi430HX/VXだが、そこから最近まで、チップセットがサポートするUSBポートは「2基」が当たり前だった。しかし、Intel 820E/815EのI/Oコントローラハブ(サウスブリッジチップ)である「ICH2」でUSBが「4ポート」に拡張された後、増加傾向にある。
USB2.0(ハイスピードUSB)に対応したIntel 845Eのサウスブリッジチップ「ICH4」では、USB1.1/2.0兼用のUSBポートが「6基」になり、USB2.0を内蔵したチップセットではこの6基が当たり前となっている。
では、次はどうなるか?
実はこの増加傾向は全く変わらず、「8基」になる。先陣を切るのはVIA Technologiesが2003年3月10日に、Athlon XP用新型チップセット「Apollo KT400A」と同時に発表したサウスブリッジチップ「VT8237」だ。SiSもこれに同調するようで、同社の次世代サウスブリッジチップ「SiS964」では、同じくUSBポートが8基となる予定だ。
また、いわゆるチップセット専業メーカーだけでなく、Intelが次世代チップセットとして開発中の“Canterwood”(コードネーム)や“Springdale”(同)に搭載されるI/Oコントローラハブチップ“ICH5”のUSBポートも、同じく8基に拡張されるとの情報がある。
“リア6基、フロント2基”なんて配置でいいのか?
しかし、ユーザー側から見た場合、USBポートでより気になるのは、実装のほうではないだろうか。つまり、USBポートが“どこに、何基”搭載されるのか、である。
この点に関して言うと、(特に自作PCの場合)USBが8基になっても、従来とほとんど変わりがないようだ。すなわち、リア側に6−8基が集中し、そのうち2−4基はブラケットでの提供となる。フロント側には、多くても2基というわけだ。
USBのサポート増強の流れで私が疑問に思うのは、実はこの点だ。なぜもう少しフロント側にUSBポートを増加させようという動きが起きないのだろうか?
確かに、(特に自作市場において)フロントUSBポートがなかなか普及しない理由はあった。以前はマザーボード上の内部ピンヘッダ(ブラケットなどに実装されたUSB端子を接続するためのピン)の配列が統一されていなかったからだ。
しかし、ここ2年ほどのマザーボードでは、Intelが中心となって策定した「Front Panel I/O」仕様に準拠したものがほとんどとなっているため、この問題はある程度の解決を見たとも言える。
一方、実際の使われ方を見てみると、USBポートがあまり使用されなかった以前はともかく、現在ではUSBで接続する機器が多様化したことから、フロント側のポートの使用頻度はかなり多くなっている。
各種ゲームコントローラや、(複数のPCで使い回す場合の)外付けHDDやCD/DVDドライブなど、“使う時だけ接続する”タイプの機器を使用しているユーザーは、接続の面倒さから、フロント側のポートに接続するのが一般的だろう。
また、ユーザーによっては、単に使っていないときに片づけやすいという理由から、キーボードとマウスをフロント側に接続している状況もよく見られる。
実際に私の回りのユーザーを眺めてみても、フロント側に比べて、リア側のUSBポートの活用度は高くない。極端な言い方をすれば、多くのユーザーでは、「フロント側のUSBポートがある限り、リア側は使わない」のだ。
また、秋葉原のパーツショップ店頭でも、数社から発売されている3.5インチベイ用USBハブやアイネックス社の3.5インチベイ用USBコネクタ「PF-005」のように、“フロントに4基のUSBポートを増設する”製品が隠れたヒットになっている。
こうした実際の使われ方に対して、自作PCはもとより、メーカー製PCでもフロントには2基しかない製品が少なくない。これはあまりにもユーザーの使用法にそぐわないのではないだろうか。
PCメーカーやマザーボードベンダーには、USBが8基となる新世代のチップセットを、是非ともこうしたUSBポートの配置を考える好機にしてほしいものだ。
[橋本新義, ITmedia]
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