News | 2003年4月4日 10:59 PM 更新 |
「かなり走って疲れたでしょー。そろそろ次のSAで休憩したほうがいいワン」。
こんなアドバイスをしてくれるAIBOと、一緒にドライブできる日も遠くはなさそうだ。
ROBODEX2003のソニーブースでは、AIBOをPCから無線制御する開発環境を提供する「AIBOリモートフレームワーク」を参考展示。その応用例として、AIBOが自動車と通信し、さまざまな情報提供や操作支援を行う「車載エージェント」を紹介していた。
AIBOリモートフレームワークとは、PCからAIBOを無線で制御するシステムを提供するもの。PCと連携したさまざまなアプリケーションが、このツールで開発できる。
システムの開発自体もいたって簡単。WindowsPC上で動作する制御アプリケーションは、C++言語でプログラミング。あとはAIBO側に、AIBOリモートフレームワークのAPIが入ったピンクのメモリースティックを挿すだけだ。AIBO側のプログラミングは必要ない。これだけで、無線LANカードに対応したAIBO(通称“仔ライオン”「ERS-210」と“マクロス”チックな「ERS-220」)をワイヤレスで制御できる。
さて、このAIBOリモートフレームワークで、何ができるのか。
ソニーブースで展示していた「車載エージェント」は、AIBOリモートフレームワークを使って「お家のAIBOと一緒にドライブに出かけよう」というコンセプトを実現したものだ。
現在、エアバックやABSなど自動車のエレクトロニクス化が進み、高級車では実に100個以上の半導体チップが使われている。そしてこれらさまざまな制御系チップの情報は、CAN(Controller Area Network)など車載ネットワークによって自動車の中を駆け巡っている。
これらの各種制御情報や、通信カーナビなどから提供される交通情報などを、無線LANを搭載した車載PCに集め、AIBOリモートフレームワークを使ってAIBOにワイヤレスで各種情報を伝えるのだ。今回のデモンストレーションでは、デンソーが開発協力した通信カーナビ機能付きの車載PCを使用。AIBOには専用のシートが与えられ、頭には指示を拡声するためのインカムが付けられていた。
「例えば、自動車が左に曲がる時は、AIBOも一緒になって左に体を傾けたり、急ブレーキ時には“危なかったねー”と驚いたポーズを見せる。また、前方車との車間距離を測るレーダーを装備している場合に、自動車からの警告のほかに、AIBOも“前の車と近づきすぎて危ないよ”と注意。通信カーナビと連携すれば、さまざまな情報も教えてくれる。まるで、しっかりもののナビゲーターが同乗しているかのように、AIBOがアドバイスしてくれる」(ソニー)。
パートナーロボットが同乗してくれる意義
これらのエージェント機能は、なにもわざわざAIBOから提供される必要はない。だが、パートナーロボットのAIBOがアクションを起こすことに意味があるのだという。
「お家でいつも遊んでいるAIBOが、一緒にドライブに行ってくれる。それも、ただ横に座っているだけでなく、車の情報を伝えてくれたり、カーナビの情報をしゃべってくれる。カーナビの液晶ディスプレイに3D化したAIBOが同様のことをするぐらいは今でもすぐにでも可能だが、リアルなAIBOがパートナーとして同乗してくれることで、ドライブが一層楽しくなる」(ソニー)。
現在、開発パートナーのデンソーでは、この車載エージェントを実車(トヨタのセルシオ)に搭載して、品質面や安全基準などのテストを行っているという。
「自動車ならではの厳しい安全基準などをクリアできれば、技術的には十分実現可能。ただし、今のところリモートフレームワークの1例としてテストしている段階で、商品化の予定はない。ただデンソーでも、自動車の中の新しいエンターテインメントを模索しており、AIBOを使った今回のシステムには積極的だ」(ソニー)。
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[西坂真人, ITmedia]
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